Rocking,
Reading, Screaming Bunny
Far more shocking than anything I ever knew. How about you?
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*名前のイニシャル2文字=♂、1文字=♀。
*(vo)=ボーカル、(g)=ギター、(b)=ベース、(drs)=ドラム、(key)=キーボード。
*この日記は嘘は書きませんが、書けないことは山ほどあります。
*文中の英文和訳=全てScreaming Bunny訳。(日記タイトルは日記内容に合わせて訳しています)
*皆さま、ワタクシはScreaming Bunnyを廃業します。
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2006年06月09日(金) |
By the way I tried to say I know you |
「新譜どうだった?」と訊かれるたびに、無言の笑顔で逃げていた。結局一言も発しないまま、自分のサイトで他の人たちの意見を募集したりして。 もう一ヶ月もたつっていうのに。レッド・ホット・チリ・ペッパーズの新譜'Stadium Arcadium'が出てから。
私はレッチリが2002年にBy The Wayを出した一ヵ月後にScreaming Bunnyになった。そして秋には、このアルバムが私のバイブルになっていた。'Californication'も'Blood Sugar Sex Magik'も素晴らしいけど、でも私は'By The Way'気狂いだから、といつも言っていた。そしてあの頃から、レッチリの次のアルバムが出ることが信じられなかった。私にはレッチリは一枚出すごとに成長しているように思えたから。だったら次のアルバムは'By The Way'を超えるの? そんなことってあり得るの?
'By The Way'と私は、天上の恋のようにエレガントに出会った。2002年の夏、TVもラジオも音楽雑誌もない生活をしている私は、今の音楽なんか一切知るわけもなく、ネットでCDを買うんでも、ずっと以前に出たものばかりだった。ダンナを追い出し仕事を辞め、6歳下の男の子とつきあいだした。つまらない男だったけど、音楽の知識は凄かった。私の聴きたがるものを片っ端からくれた。 数年ぶりにローリング・ストーンに通い始めたら、お馴染みの古いロック、たまにかかる新しいロックの中でふと私の注意を引く曲があった。 彼を連れてストーンに行った時、その曲がかかった。「ねえ!」と腕をつかんで言った。「この曲、何?」 そしたら彼が答えた。 「レッド・ホット・チリ・ペッパーズの'By The Way'だよ」
やがて家に彼から'By The Way'のCDが届く。(彼とは既に会うのをやめていた) すぐにかけて、7曲目で声を上げた。「ああ!これもレッチリか!!」って。 その曲は2、3度ストーンで聴いていた。聴くたびに心が平静でいられなくなった曲だ。曲名を見たら、'Can't Stop'とあった。
毎日毎日毎日。家で'By The Way'を聴いた。 やがて11月の寒いロンドンに出かけて、街を歩き回ると、あちこちでしょっちゅう'By The Way'の音に出会った。たいていはアルバムを頭からそのままかけていたから、私はしょっちゅうあちこちで動けなくなった。 靴屋の前を通ったら、'Throw Away Your Television'がかかっていたので、用もないのに入った。店員が寄ってきて"Can I help you?"と聴くので、"Just looking."と答えながら、本当は"Just listening."なんだけどと思っていた。 私はロンドンに音楽を聴けるものを一切持っていかなかった。なのに'By The Way'は、まるで私がMDプレーヤーで持ち歩いたかのように、私について回った。実際の音がない時にでもだ。夜中に酔っ払ってB&Bに戻った時に私ははっきりと'This Is The Place'を聴いたし、アールズ・コートの駅で自分に'Don't Forget Me'の孤独な旋律が襲いかかった時、シャレではなく、私は本当にこの瞬間を忘れないだろうと思った。
'Dosed'と'The Zephyr Song'は、二人の女神のようにきれいで優しかった。 'By The Way'(曲)は完璧だと思った。どうやったらこんな曲が書けるんだろう。
とにかく16曲(この曲数は多過ぎると思うが)中14曲が自分の中での5つ星になったし、全体も見事に調和している。 それより何より、もう思い入れとして、これは私の聖典だ。だからもしも誰かが'By The Way'にけちをつけても、私はきっと少しも気にしないと思う。地動説を否定されているのと同じだからだ。ひょっとしたら私は笑い出すかもしれない。
そうして2005年の終わりにレッチリが新譜をつくった。10月には録り終えていたとか、ジョンが仕上げにこだわって発売が伸びたとか、とにかくなかなかリリースされない。一度は3月に発売決定と言われたが、結局は5月になった。 二枚組であることへの懸念、先走って聴いてしまったDani California、色んな思いが交錯した。偶然にも発売日には旅行に出ていて(私は後から、自分が潜在意識下でわざとこの日を選んだような気すらした)聴くのが遅れ、一度聴いてからもなかなか再度聴く気になれず、聴いてもすぐに意識が逸れて集中が続かず、二枚目のラストまでたどり着くことが殆ど出来ない。 人に感想を訊かれてもきちんと答えないまま、自分のサイトで「感想を募集」してみた。ある意味時間稼ぎのようなところもあったし、本当に「困って」いたんだと思う。 その間ずっと思っていたこと。'By The Way'を聴いちゃいけない。聴けばきっと、SAを聴く気をなくす。
なのに今夜、6/7の日記を書いていて、'Cant Stop'のタイトルを書いた時、ついうっかり聴いてしまったのだ。スタジオ版の'Can't Stop'を。そして続いてうかうかと、少し前にもらってまだ聴いていなかった音源───2002年、Melodic Flea-Wayというブート・ライヴの中の'Can't Stop'を。 弦が切れんばかりに跳ね上がるフリーのベースは変わらないが。ジョンの出だしのギターがもたつく。早過ぎる。指がからまったかのようで、リズムも安定していない。上ずった感じの始まり方で、そのせいかアンソニーもちゃんと歌えていない。とうとう"Come back strong with 50 belly dancers"のところは投げ出したように諦めて歌わない。その後も歌詞は間違えるし、ラストは完全にキーを外している。 ───これを聴いた後で、ハイドパークの'Can't Stop'を聴くと、もっとずっと遅くてどっしりとしていて、特にギターは全く違っていて、キーすら低く聞こえ、じっくりとうねっている。ドラムはリズムが遅くて安定しているので、ロールもしっかりと決まっている。 一方Melodic Flea-Wayのドラムは軽くて、チャドの本領を発揮出来ているのはようやく後半になってからだ。 要するにこの演奏は、技術的には失敗に近い。特にアンソニー本人は相当納得がいかないんじゃないかと思う。 だけど、物凄くいいのだ。 例えば、全く違うがPANTA & HALの'TKO Night Light'の「ルイーズ」や、ギランのモンスターズ・オブ・ロックにおける'Mr. Universe'は、両方ともサビの大事なところで全く声が出ておらず、殆どつぶれている。それが何ともぐっと来る。 ヘタな方がいいと言ってるのではない。だけど、ライヴがライヴであることの意味。ライヴが生で、取り返しがつかないんだということの臨場感。───元々「慌てる」という要素はこの曲には合う。 少なくともこの場のオーディエンスの興奮は本物だと思う。私もこの場にいたら相当息が上がったんじゃないか。 というか。息が上がってしまった、本当に。連続して4回このバージョンを聴き、5回目はもう体力的に無理で諦めた。指が冷たくなっていた。
で、'Stadium Arcadium'は?
・・・ああ、私って馬鹿みたい。もう、すっきり迷いが抜けた。 私にとって'By The Way'は100年に一度のアルバムだし、'Can't Stop'は1,000年に一度の奇跡だから。これを超えるものが、4年に一度出るわけがない。 はっきりとわかった。新譜がどうこう言う前に、私は前から言っているように、'By The Way'気狂いだから。
さあ、これでやっと。 ようやく落ち着いて、'Stadium Arcadium'が聴ける。
By the way I tried to say I know you (ところで、言おうと思ってたんだけど、あなたを知ってるわ) *By The Way / Red Hot Chili Peppers (2002) の歌詞。
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