ぶらんこ
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「サウスポイント」を読んで影響されたことがもうひとつあった。
その日わたしは図書館に来ていて、珍しく図書館は大勢の人でごった返していて、これ以上混まないうちに早く借りなくちゃと焦っていた。 が、図書カードを紛失してしまったわたし、どうやって説明したら良いだろうと躊躇しながらカウンター前の列に並んで待っていた。
そのときわたしの名前をフルネームで呼ばれ、ぎょっとした。なななんで、、、 何をしでかしたワケでもないのに手を挙げることが出来ずにいたところへ、「はい」と言ってふたり組が前へ進んで行ったのでもっと驚いた。 だだだ、誰、、、 動くことも出来ず、ふたりのことを後方から凝視している。がっちりとした体格の男性と小柄の女性だった。
ふたりは本を持ってカウンターを離れこちら側へ歩いて来た。どんな人がわたしの名前を使っているのだ、と思いながら凝視していると・・・
「マサアキさん!」
驚いたおどろいた。すっとんきょうな自分の声にも驚いた。 幼馴染みの従兄弟だった。相変わらず彼はすっとぼけた表情をしている。
どうしてわたしの図書カードを持っているの、と訊いた。 マサアキは「これのことな?」と言って、笑った。 それは辛うじてバーコードが見えるよう繋ぎ合わされた紙の切れ端をご丁寧にパウチッコでシーリングされたものだった。 「やぁのだったぁるや」
訳がわからずそのカードを見ていると、マサアキは続けて言った。 「わんはマーキじゃないどー」
えっ!?とさらに驚いて見上げ、 「あっ、ツキアキアニ!」
そう言えばマーキとはちょっと違う。少しまともな顔。いやこういう言い方は変だけど。でもマーキはもっと表情が浮世離れしている。 ツキアキアニ、と言いながら、ツキアキじゃない、ツキアキアニじゃ語呂が違う、おかしいでしょ。 違和感を感じているのに、当のツキアキアニは平然としている。「やぁこれなくしてどうやって本借りるつもりだったわけー」
一緒にいる女性は奥さんか。いや奥さん変わったのか?どうもしっくりこなかった。 ふたりと別れてからも、変な気分が抜けないで困った。 名前が違うんだよ、、、ツキアキ、じゃないんだよ。ツキアキツキアキツキアキアニ、、、
やっぱり名前違っていたよ! と、本当の名前を思い出したのは、翌朝、ふいにこの夢を思い出したときだった。 それにしてもおかしい。従兄弟の彼をさん付けで呼ぶのなんて、小学校3年の頃以来だ。 あの頃は担任の変わった方針で無理にさん付けで呼ばされていただけだけどね。 テトラが「珠彦くん」と呼んでいたからかもしれない。彼女は彼とどんなに親しくなっても「くん」を付けていた。 いや、わたしとマーキは、もちろんテトラと珠彦みたいな関係じゃないけれど。
最近、夢をよく見る。ほぼ毎晩(毎朝)だ。それを覚えているか思い出すものだから面白い。 日記を書くようになったせいかもしれない。エンピツ日記じゃない日記。
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