ぶらんこ
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散歩へ出かけるとちょうどお月さんがのぼってきたところだった。 まんまるからほんの少し欠けた月。
寝っころがり、草の黒い陰を見あげる。 虫の声があちこちから聞こえてくる。 大合唱だ。 車の音が遠く、かき消される。 ぷーちゃんが駆けてったり、戻ってきたりしている。 彼の息の声と足音で、彼の位置がわかる。
葉陰の間から、お月さんが横目に見えた。 ふと、お祈りを唱えてみる。 いつものやつ3つを1度ずつ。(これを続けるとすぐに眠ってしまうので1度きりずつ。) ・・・そうだ、瞑想をしてみよう。 と、思うのだけれど、どうもうまくいかない。
しょうがないので、ぼんやりと星を見上げる。 見ていると、次々と現れてくる。 つきあかりの綺麗な夜なのに、不思議だ。。。 ちいさな赤い点がゆっくりと大空を渡っていった。 人工衛星かもしれない。 ふと、スプートニク2号のことを思い出した。
「この女性はすみれを愛している。しかし性欲を感じることはできない。 すみれはこの女性を愛し、しかも性欲を感じている。 ぼくはすみれを愛し、性欲を感じている。 すみれはぼくを好きではあるけれど、愛してはいないし、性欲を感じることもできない。 ぼくは別の匿名の女性に性欲を感じることはできる。しかし愛してはいない。 とても入り組んでいる。」 村上春樹 『スプートニクの恋人』
純粋に人を愛するということを考えてみる。 「純粋に」。
ぷーちゃんが近づいてきて、べろべろとわたしの顔を舐めた。 この子は純粋にわたしのことを愛している。 わたしも彼のことを深く愛している。 この愛は、純粋だと思う。
ぷーの目は、濁りがなく、まっすぐで、とても美しい。 彼に映るわたしの目は、どんなだろう。 でも、ぷーはそんなことお構いなしに、わたしのことを純粋に愛している。
そこが「ひと」と違うところなのかもしれない。。。
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