ぶらんこ
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台風が過ぎていった。 3度目の台風だった。
ここへ引っ越して間もない頃、我が家の戸袋に蜂の巣を見つけた。 害がなければそのままで・・・と思ったが、母が蜂に刺されたので放っておけなくなり、ある日、取り除いた。 驚くほどにとても大きな巣だった。 卵がたくさん眠っていて、なんとも申し訳ない気持ちになった。 巣がなくなった後には、何度か蜂たちがその周辺を飛び回っていた。
母が「今年は台風がたくさん来るよ」と言った。 どうして?と聞くと、蜂の巣の位置でわかる、と言っていた。 蜂たちが、その巣を低い位置に作る年には台風が多く来る、と昔から言われているらしい。 そう言えばその巣は、戸袋のやや下の方にあった。
夕暮れ、みかん色のお月さんがのぼっていった。 大きなまるい月だった。 十六夜。
嵐が過ぎた静かな夜。 ひとり寄り添ってみる。
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