ぶらんこ
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近所にある古びたホームセンターの駐車場の片隅に、ちいさな屋台ラーメンがあった。 軽トラの荷台を利用した、ちいさなちいさなお店だった。 わたしはそこを通るたびに、あ、お客さん入ってるゾ・・・とか 今夜は静かな晩になるのかな・・とか思いながら いつか食べに行かなくちゃなぁ。そう思って見ていた。
10日程前、そこを通ったとき、 軽トラには「本日売り切れ」と書かれた大きな紙が貼られていた。 おぉぉぉすごいなぁ。。。わたしは、こころ密かに喜んだ。 なかなか売れてるんだなぁー。なんて。
でもその紙は、翌日もそのままになっていた。 「本日定休日」っていうより聞こえ良いからかな?あきんど魂というヤツなのかな。 ・・・けれども、わたしの思いはどうも違っていたらしい。 その翌日も、そのまた翌日も、軽トラは動かされた様子もなく、そのまんまになっていたから。
いつからか、その駐車場から彼の軽トラは消えていた。 閉店したのか、或いは場所を移動したのか、わたしにはわからない。
どんな味だったのかな・・と今になって思う。 なんの変哲もない普通の味だったのかもしれない。 口コミで拡がるような、そんなお店ではなかったのかもしれない。 けっして目立つとは言えない場所で、誰も来ないような日があったのだろう。 今日はどれくらい入るかな、と店を準備しては、食材を無駄にしてしまった日もあったのだろう。。。 そんなことを想像したら、胸が痛くなった。
そういう状況のなかで、同じ場所に留まるということは、相当キツイものだと思う。 なかなか出来ないことだ。 不安はさらなる不安を呼び、やがてそれは、恐怖やあきらめといったものに変わってしまうだろう。 お金だって、いつまで続くかわからない。 多少なりとも残っているうちに。。。そう考えてしまうのが普通だろう。
でも、それでもそこへ留まったとしたら? 同じことを同じ場所で、同じように、黙々と、永遠に、何かを信じて。 いつか誰かが誰かを誘うかもしれない。 そうだ、あそこに行くと必ずやってる店があるんだよ。なんて。
そこまで続けられるかどうか? というのが、実際の分かれ目なのかもしれないけど。。。
「待ち続ける」ということはとても厳しいことだ。 でも辛いことの向こうにはしあわせが待っているに違いない、と、思いたい。 待つ不安が良くないものを呼ぶとしたなら、その反対だってあるはずだから。
・・と、最近しぼんじゃってる自分に、しあわせを呼ぼうよ、と奮起。。。
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