グミ夢日記
グミ



 妊娠と堕胎と出産

父親が転院することになり、
山奥の病院まで車を走らせていた。
ボロい病院で、外壁は崩れかかっていて
転落防止の緑色の網が張り巡らされていた。

中もやはり古く、
天井から旧式の扇風機が釣り下げられている。
父が入る部屋は3人部屋で
3つのベッドが窓際に平行に並んでいた。
真ん中のベッドには全身を包帯で巻かれている
首のない人。男だと思ったが、性別はわからない。

私は首のない患者に怯えて
この部屋は嫌だなと思うが口に出せない。
そしてなぜか私がベッドに横たえられ
入院することになっていた。

私はいたたまれなくなって部屋を抜け出した。
病院の外は緑が生い茂っていて、
しばらく歩くと崖に辿り着いた。
そこには猫がたくさんいたが触らなかった。

部屋に帰ろう。
私はまた病院に戻ったが、病室までの道のりが
いろんな障害物によって阻まれていた。
廊下に立ちふさがっている雛壇によじのぼって
最上段に置かれた鏡の前に立ち全身を見る。
私の腹はパンパンに膨れていた。妊娠していた。

そうか、ここは産婦人科なんだ、と思い直し、
私はプールに急ぐ。
同じく妊娠している幼馴染みと
プールに行く約束をしていたのだ。
クロールで泳いでいる最中、
私は自分が結婚していない事を思い出した。

父親もわからないし、1人で育てるには困難だ。
私はここまで大きくなったお腹で
堕胎することができるのかどうか不安になった。
看護婦さんに堕胎の旨を伝えると、手術室に連れていかれた。
そこには堕胎を待つ人が2〜3人並んでいた。

手術台にはなんの仕切りもなく、
こちらから手術の様子が丸見えだった。
先端にカギのついた棒で引っ掻き回され、
ポリバケツにゴミを入れるように
ドロドロとした人になる前のものが始末されていた。

私は恐ろしくなり、病院から電話をかけて
母に迎えにきてもらって家に帰った。
帰りの車の中、お腹はもう膨らんではいなかった。
腕の中には真っ白な産着に包まれた赤ちゃんがいた。

2003年05月18日(日)
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