2006年07月30日(日)
五感のすべて
私は人を顔で選ぶことにしていて 性格なんていくらでも取り繕えるし 本質は表情や顔つきに反映される と思っているから。
早稲田君に、 俺のどこが好き? と聞かれて 顔 と言っていたのは嘘ではなかった が、本当にそれ以外なかったのが真実である。
それで早稲田君が自分を男前だと勘違いしたなら さらには男前イコール"イイオトコ"だと思ったなら それは全力で否定したい。
私はゲス専と言われたことがある くらい、選んだ顔それそのものがマイノリティーな部類であり、 切れ長一重まぶたのつり目とかそういう 爬虫類ガオの冷たい目つきが好きだ。
向かい合った席で向けられた、 心の底から冷徹な目を見て 切れ長一重まぶたのつり目に怯えたのは初めてのことだった。
とりあえず 電話じゃなくて会って話そう。 泣き声が聞こえるのに慰められないのはもどかしい。 会ってちゃんと話をしよう。
と言うので何かしらの誠意 みたいなものを見せてくれるのかと思えば、
無理でしょ ことあるごとにいちいち別れたいとか言われて と薄笑いで罵られた。 冷たい目。 電話越しで怒鳴りつけられた時もきっとこんな目をしていたのだろう。 その後の優しい声。 そのギャップ。 ドメスティックバイオレンスに支配されてしまう男の人は きっとこういう感じなのだろうと思った。
私が三行半を叩き付けたのに 私が振られている。
腑に落ちないけれど 反論したところですでに意味はなく わかった と答えれば 強過ぎるよね と言われる。 ケンカを売っているとしか思えない。
別れを延ばしたのは私ではなくあなただ 延ばして保留するだけで特に何もしなかったのもね。 私だって軽々しく口に出しているわけではない 後戻りする余地を作ろうとしなかったのに 努力するのは無駄だとでも思っているのだろうか。
久しぶりに抜けるような晴れた休日。 私は早稲田君と別れた。
夜にはメールで呪が送られて来た。 感謝と謝罪と友好の言葉。 受けた相手に未練を起こさせる呪文。
『俺はずっと君のこと大事に思っているよ。』
最後まで私のせいだと思っているらしい。 くだらない。 口だけならどうとでも言えるしね。 まぁ実際の口はとてもひどい言葉を浴びせてきていたが 言動と行動が伴わないのには変わりない。
後で悔やめばいい。 一生自分のおかしさに気付かないかも知れないけどね。 かわいそうな人。
敗因は唐突に恋人として始めてしまったところだ。 少しでも友人として親しくする時期があった ならきっと私は少しずつ距離を置き 壁を立てていただろう。
唯一の救いは、早いうちから本性が見えたので 情と惰性に引きづられずにすんだことだ。 時間を無駄にできるほど私は若くはない。
最後まで違和感は拭えなかったし 最低な人だった。 香り、感触、音、五感に何も残らない 人間関係がひとつ終わった。
|