プープーの罠
2006年03月03日(金)

歩 数

別のチームの派遣の女の子と飲みに行く。

彼女は私より半年ほど前から派遣されてきていて
回転の早い派遣社員の中では2番目に古く、
(私もいつの間にか3番目の古株)
年もひとつ上、前職で消耗され正社員を辞めている
という、何だか立ち位置が非常に近い存在だ。

そんなこともあってか、
彼女からは少しライバル視されて
いる気配はうすうす感じていて、
しかし、お互いに正反対だと認識している。

彼女は妙に仰々しく少し誇らしげに
 この春から契約社員になる
ということを私に打ち明け、
彼女がわざわざ私を誘った
のはそれを告げるためだった
ことを知る。
私はもうすぐ辞めてまた無職だ。

彼女が私に入れ込むのは、
厳しく妥協がない仕事っぷりで
彼女の入社当初からダメ出しばかりでまだまだ認めてくれない
尊敬すべき鬼ディレクターとやらが
私をハナから過剰に絶賛しているからであり、
仕事が異様に早い
というウワサだけで私を象っていた
のが、一緒に仕事をした機会に目の当たりにし、しかも
刹那主義でヤル気のない態度
にもかかわらず その通りだった
というのが、真面目にやっている
方からしたらひどく不愉快な存在であろう。

私の仕事の早さは瞬発力に近い。
期限が限られているからペース配分
なんて考えずにフルスロットルでできるだけのことだ。
短距離走者と長距離走者を同じフィールドで測るのは無意味である。

 派遣はステップのひとつだから
 いつまでもそこに甘んじているわけにはいかない。
 契約社員にできると認めてもらえたんだし、
 チャンスとスキルを活かしてステップアップしていくんだ

彼女はそう言う。
非常に前向きであり同時に
私を諌めているようにもとれる。
私はそうだね、と同調し

 契約社員で長期束縛されるのは嫌だから断わったけど
 かといっていつまでも派遣で暇つぶししてるわけにはいかない。
 ウェブって未経験でスキルがなくても
 とりあえずできるからつなぎによかったけど
 本業のフリーデザイナー業も本腰入れていかなきゃなぁ

なんて逆撫でするような負けず嫌いを発する。

事実、11,12月は派遣月給を大きく上回る
だけのフリーランス収入があり私は
年末で派遣契約が終了したら年明けから完全にフリー
ランスでやっていこうということも考えていた

けれど、その仕事の殺到ぶりは結局師走
という季節が大きく関係していたものでしかなかったし、
1月から2ヵ月くらい携わる予定だったプロジェクトは
派遣続行が決まったので断わる
以前に音沙汰もないままプッチぎられた
ので、心の中で思っていただけ
とはいえ私のフリーランス計画は
初日から頓挫していたのだから
派遣が収入のメインであり本業
といわざるを得ないのが現実。

彼女の姿勢に嫉妬と焦燥感を煽られている次第です。

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「プープーの罠」 written by 浅田

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