2004年09月19日(日)
アポカリプスの夫婦
久しぶりに実家に帰った ものの、母親は毎年恒例らしき友達と旅行、 父親と二人きりである。 あとにゃんこ。
うちの家族は会話がない。 仲が悪いわけではない かと言って、良い わけでもないけれど それが 普通 である。
「映画でも行きますか。」
見えない何かに戦いを挑んでは 空振りをごまかすように私の 二の腕の内側や足の指に飛びつき 柔なところを狙いすまして噛みつく にゃんこを良いようにからかって遊ぶ 私を見て父はそう言い、 そうですねぇ、と私は言う。 父が知っている映画にしようと ネットで調べてみるも特にめぼしいものはなく、 この場合、題名を聞いたことがあるか否か で、なのですが、結局どれも知らないしだったら どれを観ようが似たようなもの なので本当はアンジェリーナジョリーの テイキングライブスが見たかったですが、 何となく 父親を自分の趣味に付き合わせる ってのはどうなのかという妙な抵抗感があり、 「これCMで観た」ということで バイオハザードを観に行く。
新しく出来たというシネコン へぇキレイなのねと見回して振り返ると 父の姿はなく、私はそこら辺に座り、再びあたりを見回す。 天井がやけに高くて、正午だというのに必要以上に薄暗く 休日のせいもあり、カップルだらけだ。 気がつくと戻ってきた父は楽しそうに夫婦割引のチケットを見せる。 夫婦のどちらかが50歳以上だとペアで2000円で観られるのだ。
「ばれたらどうすんの?」 「『アラ私50歳に見えないの?』って言って喜んどけ。」
私はすまして大人ぶり館員にチケットを渡し、 館員はこちらをちらりとも見ずに半券をちぎって返した。 父は笑った。
さて、映画自体は ゾンビが腹を空かせて生きた人間を追いかけ回すのは 薬殺されてから時間が経っていた前回はまだ 理屈が通るのだけれど、噛まれて数時間で 死なずとも感染でもしたかのように 凶暴なゾンビ化するのは解せない。 ゆらゆらと気味の悪いゾンビが登場する度に うへぇと声が漏れてしまう。 私はこの手の映画を好んで見る くせにあまり得意ではない。 ゲームだって怖くて前に進めない。 ミラ・ジョボヴィッチが人間 離れした強さというのも何だかなぁだし どうやら、さらに続編もある気配。
何だかわかんなかったねぇ と映画館を出ると、辺りはもう暗く 父と私は近所の寿司屋に向かい、 休日のせいもあり、子供連れだらけだ。 生け簀がやけに多い店で、待っている間 水槽を覗き込んではヒラメだアワビだ 水族館のようであり、寿司屋で私が一番 好きなのは ガリ である。
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