小ネタ日記ex

※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
※気が向いた時に書き込まれますが、根本的に校正とか読み直しとかをしないので、誤字脱字、日本語としておかしい箇所などは軽く見なかった振りをしてやって下さい。

サイトアドレスが変更されました。詳しくはトップページをごらんください。

日記一括目次
笛系小ネタ一覧
種系小ネタ一覧
その他ジャンル小ネタ一覧



彼にとっての予定調和(種/シンとルナマリア)(運命終了後)。
2006年10月14日(土)

 ある日、同僚からその話を聞いた。









「ねぇ聞いた、シン。アスラン、結婚するんですって」
 廊下で顔を合わせた、ラベンダーブルーの瞳をした同僚は、大層複雑そうな顔をしてザフト軍中央本部勤務ザラ隊のシン・アスカにそう言った。
 両手を使って大量の紙の資料を持ったままのシンは、思わず二の句が継げずにぽかんと口を空ける。ようやく言葉らしいものが出てきたのは、彼女の目を見つめて数秒経った後だった。
「………けっこん?」
 何それ。俺知らない。
「そうよ結婚よ。異性と婚姻関係を結んで新しい家庭を築くアレよ」
「……アスランさんが」
「そうよ! ちょっとシン、ぼけらっとした顔してないで、ちゃんと考えてよ!」
 シンの態度に苛立ったのか、紫紅の髪をした彼女はあろうことかシンの襟首を掴んで揺さぶった。その振動でようやくシンにも真っ当な思考が戻ってくる。
「ちょ、ルナ、落とすから! わかってるよ、ちゃんと」
「ほんとに? 兎角アンタは昔っから変なところは大ボケかますんだから」
 自分が乱したシンの制服を直しながら、士官学校時代からの同期のルナマリアはぶつぶつと小言を言った。この、まるで姉のように面倒を見てくれる相手にシンは敵わない。
 けれど今は彼女の言った内容のほうが重要だった。
「…そっか、結婚、するんだ」
 自分の頭にしみこませるように、シンはそう呟いた。
 金の髪の姫の顔と、涼やかな声を思い出す。あの姫もとうとう、好いた相手と結ばれるのだ。
「いいんじゃない? アスランさんだってもうそこそこの歳だし、いつまでも独身じゃ格好つかないし」
「でもだからって、ろくに会ったこともない政治家の娘と結婚するなんてどうかしらねー」
「…政治家の娘?」
 シンの母国の代表首長、カガリ・ユラ・アスハは政治家の娘ではあるが、今ではそもそも彼女自身が政治家だ。シンはルナマリアのその面白くなさそうな言い方に嫌な予感がした。
「ルナ、それ誰のこと?」
「名前は知らないわ。でも、プラントの結構偉い人の長女らしいって噂よ」
 違う。シンは自分の予想と大きく異なる事実に、思わず息を飲んだ。金の姫じゃない。
 だったらそれはただの噂だ。あの人が、あの想い人以外の女性と結婚するなんて有り得ない。
「でもさ、それって噂だろ? どうせどっかから出たガセネタだって。違う違う、絶対違う」
「さあ、どうかしら? ともかくうちの部署、この話で持ちきりよ。ことによっては次の人事異動に関わるんだし、場合によってはアスランの政界入りだってより確実に」
「だから、違うってば! 俺は信じない」
「…シン、オーブの姫のこと考えてるでしょ」
 ラベンダーブルーの瞳が温度を低くしてシンを見る。その見透かしたような瞳に威圧されながらも、シンは何とか後ずさりをこらえた。
 両腕に持った書類の一番下が、シンの手の汗を受けてかすかに歪む。
「だ、だってさぁ…」
「まったく、ほんとあの姫が好きなのか嫌いなのかわかんないひとねぇ」
 ころころと笑い、ルナマリアはシンの紅の瞳をのぞきこむ。からかうのではなく、彼女らしい明るい優しさがシンを包んだ。
「そう思うんなら、シンがアスランに確認してみてよ。私たちはあんまり聞けないけど、シンなら出来るでしょ?」
「…あのさルナ、もしかしてそれが目的?」
「やーねぇ、私はただ、シンがこの話聞いたら怒りながら心配するかな、と思って早く教えてあげただけよ。ちゃんと聞き出したら私にも教えてね」
 じゃ、よろしくー。うふふ、と笑いながら歌うようなかろやかさでルナマリアは廊下を歩き出した。
「おいルナ!」
 短い愛称で呼んでも、彼女は後ろ手をひらひらと振るだけで、もう戻ってくる様子はない。両手の荷物があって、シンもそれを追いかけるわけにもいかない。
 妙な波紋を残して去っていく優秀な同期生の背を軽く睨みながら、シンは軽く息を吐く。
 早く上司のところにこの資料を持って帰ろう。そう思いながら目的地へとぼとぼと歩き出す。
「…そういうことだって、あるだろうけどさ」
 組織社会において、独身男性はあまり高い位置の役職付きにはなれない。離婚はしてもいいが、一度も結婚をしていない男性士官は中央から追いやられる。理由は様々だが、シンの所属するザフト軍では特に文官の任を追う部門では特にそうだ。
 アスラン・ザラはいずれ政界入りが有望視されているザフトの英雄だ。彼の結婚は、約束された未来に近い。かつては婚約者としてラクス・クラインがいたが公式的にその婚約は破棄され、公然の秘密である想い人は遠い異国の人だ。
 想い合うことが、一生を添い遂げる存在になるとは限らない。
 シンも薄々その事実に気づいていた。否、シン自身も参戦したあの戦争初期、オーブの姫の最初の夫が存在した時点で、それはわかっていた。
 あの人たちは、きっと、自分たちだけの幸福を追い求めることはないだろう。戦禍を拡大させた罪を忘れず、生きる限りその贖罪に努めようとするだろう。アスランの結婚は、その一部に他ならない。
 彼とあの姫は、たぶん結ばれない。
 有り得ない、とルナマリアに言った口の持ち主は、厳然としたその事実に辿り着き、ため息になりそうな呼吸をぐっとこらえる。

 それでも、罪は罪として、幸せは幸せとして掴んで欲しいと願うのは、都合のいいわがままなのだろうか。

 カガリがあの戦争によって傷ついた自国を心から悲しみ、慈しんでいるのを知っている。守れなかった国民の命を嘆き、己を悔いて、今も耐えながら傷まみれになりながら戦い続けようとしているのを知っている。
 少年時代から混迷しながらも、コーディネイターとナチュラルの軋轢から人類を解放し、平和の地平を目指してザフト軍として活動しているアスランを知っている。オーブの姫を、離れても尚想っている彼の姿を知っている。
 大戦終結後、冷静になればなるほど自分のしたことの大きさに潰されそうになったシンを支えてくれたのはルナマリアで、手を差し伸べてくれたのはアスランとカガリだ。上官として支援してくれた人と、母国への移住権を取り戻してくれた人。
 自分が未だシン・アスカとしての幸福を夢見てやまないように、彼らも彼らの幸福を目指して欲しい。それは、とても自分勝手な意見ではあるけれども。
「……俺に言えた義理じゃないけどさ」
 何せ、未だにあのラベンダーブルーの瞳にまともな想いを伝えることが出来た記憶がない。
 人様の恋愛ごとにかまっていられるほど悠長な立場ではないのだ。まだ有り難いことといえば、シンとルナマリアはアスランとカガリほど障害の多い関係ではないことぐらいだ。
 だからといって、放置しておくのも気持ちが悪い。
 軍本部の無機質な廊下を歩きながら、シンはとりあえずこれから上司のザラ隊長に問い質し、事と次第によってはぎゃんぎゃん吠え立ててでも結婚反対宣言をしようと心に決めた。








*************************
 理屈より感情論で突っ走れシン・アスカ。
 「嫌なもんは嫌だ!」と堂々と言って振舞うところがシンちゃんの良いところであり、悪いところでもあると思うのですが、私は嫌いではありません。軍人として向いてるのかどうかは置いとこう。

 そしてどっちかっていうと、シン→ルナマリー(※ルナマリア)の図が好物です。

 人様の日記に便乗するようでアレなんですけど、A乃さんの日記の「ニュースキャスター三上」に結構ときめいた。
 公共放送の新人時代(地方局時代)に水野と発音練習で競い合ってたりする図を想像してさらにときめいた。難関ら行とば行の活用系を延々と二人でぶつぶつ言ってるがいいよ! 私が大嫌いだったな行をすらすら出来る三上だったら惚れるかもしれない。
 民放よりも、公共放送独特のあの喋り方の三上ならたぶん惚れる。
 そしてスポーツコーナーは渋沢担当で、お天気は笠井だ!(何その超趣味)
 ……という本を、あや乃さん是非出して下さい(そろそろ本当にイベントに行って御本を買いたい今日このごろ)(恥ずかしくて通販を言い出せません…)(ヘタレ)。

 ところで私はN○Kの夜のお天気ニュースで、キャスターと気象予報士が二人揃って「「こんばんは!」」と「「また明日!」」と言いながら頭を下げている姿が大好きです。もーあなた方内心で「せーの」って声出してるでしょ! とあれだけできゃーきゃー言うほど好きです(何のためにニュース見てるんだ)。




<<過去  ■□目次□■  未来>>

Powered by NINJA TOOLS
素材: / web*citron