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雪と世界の果ての中(笛/渋沢と三上)(パラレル)。
2006年07月31日(月)
決めたんだ。俺は、俺の運命を変えてみせるんだって。
温度のない雪が、いつまでも降っていた。
光りながら落ちてくる雪。冷たさはなく、塵のように降ってくるというのに触れた瞬間溶けて消える。
この世のものとは思えないほど美しい塔が聳え立っていた。天頂は見えず、霧のような雲に隠れている。水晶の塔。ところどころに巨大な扉のような窓が見える。
圧倒的な存在感を放つ塔の前で、茶の髪を持つ背の高い少年が、歓喜に微笑んでいた。
「さあ見ろよ三上、これが女神の坐す塔だ」
彼が片腕を広げると、黒衣のローブが風に舞った。
禍々しい笑みだと、三上は半ば放心しながら友の顔を見つめていた。決して浅くない付き合いだと思っていたが、渋沢のそんな顔は初めて見た。
「やっと着いた。俺はここで、俺の運命を変える」
「…やめろよ」
やめろ、渋沢。
黒髪の下で、三上は搾り出すように呟いた。
これは誰なのだろう。穏やかで聡明で、いつも優しげに笑う渋沢克朗は、もうどこにもいないのだろうか。そんなはずはない。そう信じたかった。
微笑む渋沢は幸せそうなのに、その口元は歪んで見える。
「やめる? まさか、今更出来るわけがないだろう。ようやくここまで来れたんだ。俺は絶対に諦めない」
運命を変える女神の塔。辿り着いた運命の日。
友と二人、並んで旅をした日々の終着点だ。
「…ああ、そうだよ。運命を変えて、またあの場所に帰る。それだけでいいだろ、渋沢!」
「良いわけがないだろう。またこの後に別の『旅人』がやってきて、俺たちが変えた運命を再度変えたらどうするんだ。運命を変えるのは俺たちで最後だ。運命を変えさせ、女神を殺し、俺たちは戻る。それが最良の策だ」
「渋沢!」
何という不敬。何という大罪。いとも簡単に口にし、易々と遂げてみせると言う渋沢が、三上には信じられなかった。
声を張り上げ、ただ名を呼ぶことで制止とする三上に、渋沢は少し憐憫じみたまなざしを向けた。
「お前が嫌なら、無理にとは言わないさ。だが俺はやる。女神がいるから、運命は変えられるという希望が残るんだ。俺はもう自分以外にそれを許す気はない」
畳み掛けるように言葉を次ぐ渋沢の髪の上に、冷たさのない雪が降る。
深々と、彼の者の遠い嘆きを覆い隠すように、渋沢の上に雪が降っている。幸せそうに笑う渋沢の瞳の奥には、亡くした人たちが見えているのだろうか。
「俺は二度と失わない。それが俺の運命だ」
「…無理だろ、渋沢」
「無理じゃない。俺はそうするためにここに来たんだ」
「無理だ。たとえ元の世界に戻っても、またあいつらが戻って来ても、俺たちはヒトだ。永遠に離れない人生なんて有り得るわけねぇよ」
永遠を希おうとも、自分たちはヒトの身なのだ。神にはなれない。
取り戻すための旅だった。突如失った仲間たちと、優しかった世界。忘れるには思い出は幸せすぎ、捨て去るには辛すぎた記憶。
女神の坐する運命の塔へ行けば、願う者の運命が変えられる。辿り着いた者に女神はその願いを叶える。おとぎ話のようなその話に縋ったのは、いつかの三上と渋沢だった。
「…本当にお前が女神を弑逆するのなら、俺はもう行けない。ここでお別れだ」
もう、あいつらにも会えないけれど。
疲弊しきった心で、三上はどうにか笑ってみせた。
見せたくなかった。今の渋沢の姿を、かつての仲間たちには。
「お前がお前じゃなくなったなら、俺にはもう意味なんてない」
こんなに心が素直になれたのは、いつ以来だろう。かすかに首を振り、積もろうとする雪を黒い髪から払い除けながら、三上は空を仰いだ。
何も見えない。希望も絶望も、灰色の雲ですら。
仲間たちの声がもう思い出せない。
最初はただ、運命を変えることで取り戻したかっただけなのに。
「運命なんて、最初からなかったんだ」
友すら、もうどこにも見えない。
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超がつくほど適当なイメージのブレイブストーリーで三上と渋沢。イメージ。あくまでも幻界がイメージ。
ちなみにブレイブストーリーはこんな話ではありません(あってたまりますか)。
いい加減、映画の予告CMでほろりと来るぐらいなら本編を観に行くべきだとわかっているのですが、未だ行ってない。
芦川・ウェンツ・美鶴が見たいものですよ。
どうでもいいですが、職場で見事「几帳面でマメな人」の称号を頂きましたよ! 外面万歳!
A型でしょう? とよく言われるO型です。
自宅以外の部屋の掃除が得意です。でもパソコンの中と机の中は見ちゃダメです。
そういえば昼にぼへーっと新聞を読んでいたら、今の職場のことが記事になっていて(要は常駐しているクライアント先の会社名が出ていた)ちょっと嬉しくなったので自席に戻って記事をスクラップしてみました。
知ってる会社(とか人とか地名)が新聞に載ってると、妙に嬉しくなります。
特に今の常駐先はいい記事に出てくることが多いので(大半は新製品紹介ですが)見つけるとハサミで切り取ってます。
…こういう変なところでマメだから、外から見ると几帳面だと思われるわけですよ。まずはロッカーの中に溜まってる新聞をどうにかしろって感じですよ。
そういえば、去年も日記の更新月になると日記更新率が上がったことを思い出しました。
さあ明日はお台場メモリアルですよ!(世の中は夏休みってことですよね!)
運命が変えられるなら何を願うか。
漠然とはあるけれど、口に出すには少々年を重ねすぎたかな、と思います。
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