小ネタ日記ex

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日誌には無い出来事(パトレイバー/しのぶと野明)(その他)。
2006年05月21日(日)

 別に気にしてなんていない。ただそれだけのこと。









 不意にその長さが目についたようだった。
 警視庁警備部特車二課。通称パトレイバー隊の隊長室は、静かな午後の光が差し込んでいた。

「南雲さんは、髪が長いですね」

 一回り以上も歳が離れた巡査にそう言われ、南雲しのぶ『警部補』は読んでいた報告書から顔を上げた。
 癖のある茶の髪をショートカットにした、まだ若い彼女はしのぶを見ながら小さく笑っていた。

「髪?」

 怪訝そうに言い返したしのぶに、彼女がうなずく。

「そう…ね。昔からこのぐらいだから、慣れね」
「そうなんですか」

 そこで一旦、会話が途切れる。
 大して事件のない午後、二人いるうちの片方しか座していない隊長室。
 日ごろ何かと、彼女が所属する第二小隊に迷惑を被っているしのぶだったが、このまだ少女にも近い顔つきの彼女を個人的に嫌っているわけではない。繁忙でもない事情も手伝って、本格的に仕事の手を休めた。

「さっきも言ったけれど、後藤さんならしばらく戻らないけれど、何か?」
「あ、いいえ! 大したことじゃないんです。ただ髪が長いなーって思っただけで。あたしはほら、短いもんで」

 慌てふためいたように、彼女が顔の前で手を振る。
 彼女の直属の上司はしのぶの斜め向かいの席の住人だったが、今は不在だ。彼女としのぶは所属小隊は異なるが、異性である上司には相談しにくい事柄であるのなら、しのぶが任を代わっても何ら差支えは無い。

「南雲さんは髪下ろしたところ似合いますもんね」
「……………」

 南雲さん『は』。
 その微妙な言い回しに、しのぶは苦笑したい気持ちをこらえる。これだから若い子は、と思うのは自分がもう歳だという証拠なのだろうか。

「私に似合う似合わないはともかく、あなたは今のままが一番いい気がするけれど。長い髪は決してレイバー乗りに向いているわけじゃないもの」
「そう…ですか?」
「そうよ」

 法規的武装集団に、個人の見栄えはあまり重要視されない。髪などその最たる例だろう。泊り込みは基本、徹夜は日常、野外活動は必須の職務において、長髪は手入れの点で邪魔と言わざるを得ない。
 しのぶの髪が長いのは、単純に好みの問題だった。手間を掛けても維持すべきかどうかは、結局個人の判断に委ねられる。

「職務上問題なければ別に伸ばしてもいいのよ? 仕事中は括るか何かして、規定に沿えば何ら構わないでしょう」

 だいたいそれ以外の問題で、規律というものを無視する傾向のある彼の部下だ。今更髪型一つで何が変わるわけでもない。
 しのぶの提言に、彼女は少し安堵したような笑みをのぞかせた。

「…考えてみます。お忙しい中、ありがとうございました」

 律儀に敬礼をして彼女は辞去して行ったが、その奇妙な真面目さにしのぶはとうとう笑ってしまった。
 しのぶと彼女が所属する、警視庁警備部特車二課には圧倒的に女性の数が少ない。そもそも警察社会からしても、やはり男社会であることを基本とした集団なのだ。今の彼女も日々を男性主体の中で生きている。
 それでも、髪型を気にする妙齢の女性なのだ。不意に思い知るそんな当たり前の事実が、しのぶにはひどく微笑ましく思えた。

「…髪、ねぇ」

 後ろで一つに括った髪を、しのぶはふと撫でてみる。
 長くするのは癖だった。なぜかと考えたことはあまりなかったが、職場に来て着替える前に髪を括るのは日常の瑣末な習慣だった。
 あの若いというよりは、まだ幼いとも呼べる彼女は何を思って、自分の毛髪について思考を巡らせることになったのだろう。そしてそれを、彼女の隊長や同僚は知っているのだろうか。

(…何かまたチームワークとかが面倒なことにならなければいいけれど)

 些細なこと、としのぶが一笑に付すようなことですら、巨大な罅割れにまで発展させてしまう連中なのだ。弱点は人間関係。冗談ではないと思う。
 それでもせめて、自分たちが公僕であり税金で養われている身であることをもう少し深く考えてくれれば、しのぶの苦労も少しは減るというのに。
 今更考えてもしょうがないよ?
 しのぶの想像の中で、突如後藤のとらえどころの無い声が聞こえてくる。
 全く、なぜここまで自分が考えてやらねばならないのか。
 しのぶは辟易とした思いを打ち払い、心を引き締めるように髪を結び直すと、止まっていた事務作業に戻った。








***********************
 …一体何やってんだ。
 そんなパトレイバー。南雲隊長と野明さん。

 遊馬と野明で、髪の長さ談義にするつもりだったのですが、遊馬って書くのめんどくさそうだわー…ということで、しのぶさん。
 凛とした女の人が好きです。
 別軸で、あすまとのあで何かあったと思いねぇ、みたいな小ネタ(………)。
 別に髪型でうじうじ悩むようなのあさんではないと思うんですけど、そしてあすまもそう思ってるんでしょうけど、だいたい仕事の上では髪なんて短いほうが楽に決まってるんでしょうけど、二人ともそう思ってそうなのに売り言葉に買い言葉に喧嘩でもすりゃいいさ(色々適当に言ってます)。

 以上、種とテニスで詰まったために気分転換でした。




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