小ネタ日記ex

※小ネタとか日記とか何やら適当に書いたり書かなかったりしているメモ帳みたいなもの。
※気が向いた時に書き込まれますが、根本的に校正とか読み直しとかをしないので、誤字脱字、日本語としておかしい箇所などは軽く見なかった振りをしてやって下さい。

サイトアドレスが変更されました。詳しくはトップページをごらんください。

日記一括目次
笛系小ネタ一覧
種系小ネタ一覧
その他ジャンル小ネタ一覧



午後三時の決闘(デス種/キラとアスラン)。
2005年03月12日(土)

 アークエンジェル/食堂/差し向かいの親友同士。








 ある日、キラ・ヤマトがのたまった。
「僕さ、アスランにはすっごく感謝してるんだよね」
 向かいの親友から輝きに満ちた笑顔を向けられ、アスラン・ザラは咄嗟に二の句を告げなかった。
 そうかとうなずく事も、それはなぜだと問う事もアスランの第六感がやめろと激しく訴えていた。口元を上げ紫の目を実に楽しげに細めたキラの顔にロクなことはなかったからだ。
 どうこの場をやり過ごすべきか。姑息な考えが浮かばないか悩みかけたアスランの右手の中で、安物のコーヒーカップがじわりと熱を伝えてくる。
 合流したばかりのアークエンジェルは以前と同じ容貌をしていたが、内部は少しずつ変化があった。たとえば艦内どこでもコーヒーが飲める。
 返答に困窮する群青の髪をした親友に、キラは畳み掛ける。
「なんでだと思う?」
 何でだって構わないがとりあえずその笑顔をやめろ。
 さりげなさを装って親友の顔から視線を逸らしつつ、アスランは赤い軍服ごとこっそり椅子をテーブルから離した。
 聞きたくない。ものすごく聞きたくない。
「アースーラーン?」
「…何だ、キラ」
 この友に口先で負けるのは死んでも嫌だ。空いた左手をテーブルの下でアスランは硬く握る。
 薄々わかっているくせに白を切る彼に、キラは笑うのをやめわざとらしく息を吐いた。弱々しげに振られた首のせいで、彼の栗色の髪がさらさらと揺れる。
「やだなぁ、感謝してるんだってば、ほんとに」
「…………」
 にっこり。そんな言葉を顔の横に並べたら今のキラの表情になる。
 栗色の髪の親友は、おもむろにコーヒーカップごとアスランの手を両手で握った。
「ありがとう! 僕に夢を見せてくれて!!」
「…………」
「普通に生きてたら、花嫁強奪なんてロマン一生味わえなかったよ!!」
 ありがとう友よ!!
 きらめく紫の双眸は、例の件の背景ではなく行動に重きを置いてのものだった。
 揺らされたはずみにアスランの手の甲にこぼれたコーヒーを見つめつつ、アスランはいっそ皮肉で言ってくれたほうが百倍もマシだと本気でそう思う。
 指輪まで渡した想い人が別の男と結婚する最中に攫うというのは、相手との合意さえあればそれはもう痛快爽快であり、男の浪漫と夢だ。しかしそれをちょっとした時間軸のすれ違いから親友に取って代わられた彼にとっては、人生の後悔エピソードの筆頭である。
「それ、は…」
 よかったな、と言うぐらいなら舌噛んで死んでやる。
 一発殴りたい気持ちをこらえ、アスランは口端をひきつらせる。
 何より癪なのは、あのときキラがいなければ自分の恋人は別の男の妻になっていただろう事実だ。彼女にはそうせざるを得ない情勢であり、離れていた自分にも非があるとアスランは公正な結論を出していた。つまるところ自分は彼女の中で国家に負けたのかという部分もあったが、惚れた弱みと最初からあの国を捨てる彼女など有り得ないだけに納得もしている。
 それらを放り投げて彼女を式場から攫ってくれた親友は自分たちの恩人であり、感謝すべきなのだがアスランのプライドとしてこの状態でそれだけは言いたくない。
 なぜ俺はあのときあそこにいなかった。アスラン・ザラ、痛恨の極みである。
「まあ事情はアレとかソレとかだったけどさ、滅多に出来ない体験だよね!」
「…ああ、そうだな」
 それだけは認めるよりほかない。笑顔の親友に手を握られたまま、アスランは渋々うなずいた。
「つまり、これで僕はアスランに勝ち点1だよね!」
「…………は?」
「だってそうでしょ? アスランには『出来なかった』ことを、僕は『出来た』んだから」
 楽しそうな顔のまま、キラはごく当たり前のように説いた。
 思わず手を振り解こうとしたアスランをキラは相手の予想以上の力を込めて抗う。しかし表情は笑顔だ。
「ね? そうでしょ? 僕の勝ちだよね?」
 アスランの想い人、それはそのままキラにとっては双子のきょうだいだ。その彼女の本来の意に染まぬ結婚問題で勝敗をつけるとは。
 思わずアスランの眉間が本気で寄せられた。
「勝ちも負けもないだろう。俺でもお前でも、ぶち壊しに出来たらそれでよかった問題のはずだ」
「何言ってるのさ。全然知らなかったくせに」
 アスランの胸に何かがめり込んだ。
 事実であるだけに何より痛い。テーブルに突っ伏して泣きたい気分とはこういうときを言うのだろう。彼は心のままキラから視線を遠ざけた。
「ほら、だから僕の完封勝ち。ね?」
 どうやらアスランが認めるまで離す気がないらしい手を見つめつつ、アスランは押し黙った。
 認めたくないのは決して自分が狭量だからではない。相手が幼馴染であるだけだ。キラにだけは負けたくない。それは長年そばにいた分だけある、小さい頃からの競争心だ。
「…別に俺だって負けたわけじゃない」
「え、どこが」
「たまたまお前が先に勝点を取っただけだ!」
 苦しい言い訳だったが、顔を上げ睨み返した緑の目は意地に燃えていた。
 キラの手の中、アスランの右手がさらにその中のコーヒーカップを、渾身の力を込めて握る。
「残念でしたー。あれは一回切りだもんね」
「誰がそんなの決めたんだ」
「僕」
「勝手に決めるな。勝負は全部終わってから判定が出るものだ」
「セコイ判定勝ちなんて狙わないでよ。みみっちいなぁ」
「お前こそ昔からそうだ! いつもいつもそうやって勝手に」
「アスランが細かいところまでぐちぐち言うからだよ!」
「お前が大雑把すぎるんだ!」
 食堂のテーブルを挟んで、紫と緑の二対の瞳が対峙する。
 一際強くにらみ合ったかと思うと、同時にコーヒーカップから手を引いた。一拍置いて、やはり同時に立ち上がり、舌が動く。
「ともかく! 今回は僕の勝ちだからね!」
「何が勝ちだ! 勝手に決めるな!」
「だって間に合ったのは僕だよ!? どう見ても勝ちでしょ!」
「条件が五分じゃない! 双方が同じ状況下でこそ勝負になるはずだ!」
「知らないよそんなの! 同じになるの待ってらんないし!」
「待てよ勝負だとか言うなら!」
「何さ、ちょっと自分のほうが身長高いからって昔からそうやって偉そうにさー!」
「お前が頼りないからだ!」
「言っとくけど、僕のほうが誕生日早いんだからね!」
「精神年齢の問題だバカ!」
「バカぁ? うっわ、アスランのくせにバカとか言う!?」
「俺のくせにとはどういう意味だバカキラ!」
「あー!! 二回も言うし!! 間に合わなかった負け組のくせに!」
「うるさいバカ!」
「負け組アスラン!」

「…お前らは一体いくつの子どもだ」

 息が切れたほんの少しの間に、あきれ果てた涼やかな声が割り込んだ。
 同時に視線を向けた少年と青年の過渡期にある二人の目に、鮮やかな金髪が飛び込んでくる。なめらかな肌と強い輝きの金褐色の双眸。
「「カガリ」」
 同時に言ってしまい、親友二人で舌打ちしながら軽く睨み合う。
「廊下まで聞こえてたぞ。恥ずかしい真似するなよ、いい歳して」
「僕が勝ったのに、アスランが認めたがらないからだよ」
「だからあれは勝負にならないって言ってるだろう!」
「じゃあどうしろって!」
「もう一回仕切りなおせ! そんなに自信があるならもう一度勝ってから言え!」
「……あ、そっか」
 思いきり怪訝そうにしている彼女を置き去りに、男二人で視線だけの合意ののち頷き合う。
 そして彼らは互いのかたわらに立つ問題の彼女を見る。
「カガリ」
「あのさ」
 ぽん、と両肩にそれぞれ手を置いた彼らは、極端なレベルでしか物事を考えていなかった。要は自分たちの勝負問題、幼い頃の砂場遊びでどれだけ高い山を作れるかの延長戦上にあるものだ。
 自分勝手な大真面目さで見つめてくる片方恋人、片方弟に、カガリは心底から不思議そうに目を瞬かせる。
「え?」
「突然で悪いんだけど、お願いがあるんだ」
 同時スタートでいかに早く標的を掻っ攫えるか。
 あのときを同じ状況が必要だった。


「「もう一回結婚式やって欲しいんだけど」」


 …きっかり五秒後、金髪少女の怒声だけが響き渡り、翌日には揃いの殴られた痕を頬に残した幼馴染みが艦内で発見された。








************************
 アスランをぶん殴るキラもいいけど、感謝するキラはあんまり見ないな、と思いました。
 この場合お兄ちゃんは妹の結婚がどうとかではなく、自分の浪漫だけしか考えてません。元護衛は単純に自分が弟まがいに見てきた相手に負けるのが悔しいだけです。
 当然、当事者の姫様にしてみれば「ひとの結婚を勝負のネタにするなアホコンビがーッ!!」と怒るだろうな、と。
 …それだけ。
 アホなのは私の頭です。すいません…。
 普通は、そりゃ浪漫ではあるけどなんで僕がやらなきゃいけないかよーく考えてごらんアスラン? 的なキラと、…わかってる、ぐらいしか言えない落ち込みっ子アスラン、なのでしょう、な…。
 …だってそういうのは他所様でおなかいっぱいになるんだもの…。

 なんであのアニメ、兄妹だか姉弟だかで『卒業』やったんだろう…(ふと我に返る)。
 何となく「アスラン以外との式は今後全部僕が攫いに行くからね?」とかカガリに笑顔で脅し言っちゃうキラ様も楽しいかもしれない(…単にアスカガ前提の双子が大好きなだけでしょ…)。

 今日のデス種〜恋に落ちたふたり〜(…としか見えなかった)(何が色々すごかった)(え、そんな見るからに直球勝負なの監督!)は、また後か明日あたり感想書きます…。私の感想は中身の四分の一はシン考察みたいなものですけど!(最近のが…)
 今回色々アスカガと故意にかぶせたシンステでした。
 君は俺が守る、は決め台詞扱いなんですかね。ザラちっとも守れてないけど。
 今更なんでしょうが、茶髪っぽく見えるシンの横顔があれーキラくんいつの間にー?みたいな気持ちになりました。シンの髪が徐々に伸びているように見えるのは気のせいでしょうか。毛質が柔らかそうねあの子。
 気付いたらシン大好きっ子ですか私は(ガキで手間がかかりそうなところが大好きだ!)

 そういえば、またしてもFF10-2はじめました。
 といっても過去データをぷちぷちやっているだけですけど。アビリティ全部コンプリートするためにずーっと戦闘だけしてます。本家ユウナで。
 …やっぱ私にとっては、ユウナの名はあの子だけなんです、ね…。偶然にしてはあまりにも微妙な同じ名前のキャラがどっかにいますけど(気に食わない最大の理由が名前という微妙っぷり)。
 そして森田声にアウルも重ならない。ティーダというよりむしろシューインか…。
 この勢いのまま10もまたやろうかと考え中。歴代FFの中であれが一番主人公と物語が好きだ。




<<過去  ■□目次□■  未来>>

Powered by NINJA TOOLS
素材: / web*citron