子供に言って聞かせるように
小山になってしまったのでヤマと命名。
私の旅行バッグをロッカーに預け、施錠してくれ
コインを投入、そして鍵を無くしちゃダメだよと
渡してくれた。
一人で歩かないといけないときは、必死になって
迷わないようにしてるけど、誰かがいるとずっと
しゃべったままで、自分のいる位置、歩いている場所
全く見ない私。
私をよくわかってるヤマは、全部面倒を見てくれた。
店まで歩きながらずっとしゃべってた。
恋人同士のように手を繋いだり、寄り添えなかったのは
ほんの少しお互い遠慮してたから。
3年ぶりに会うのに、会話は全く滞らない。
次々に楽しい話題が浮かんでくる。
小気味いいテンポのよさ、打てば返って来るやり取り。
そういえば店に向かう途中で
スィーツってなんなんだよっ!
甘いものって、日本語で言えよっ!
と、叫んでたな。
店に入ってからも、ずっと話は途切れない。
仕事の話になって、ヤマも手首がおかしいと言う。
見せてもらうと、手首がデスクに擦れる部分が
タコのように硬くなってた。
私のそこは、擦れてテカテカしてる。
平打ちパスタのコースは美味だった。
私の以前の仕事や、業界裏話、ヤマの友人の
強烈な体験談、お互いの病状のその後の経過。
美味なコースをあっという間にたいらげて
延々と続くあれこれの話。
ヤマの顔をじっと見つめた。
下膨れさえなくなれば、あの頃の美形に
戻れるはず。
あと10キロ痩せたらと言うと
20キロ痩せないといけないらしい。
でも戻す気はないみたい。
言ったけど、痩せなくてもいいと私も思った。
ヤマはヤマ。
あの頃と同じに優しくて、気遣ってくれて
軽妙で、楽しい。
食事を終えて、ウィンドウショッピング。
チョコを求めてデパ地下。
結局チョコは買わなかった。
買って帰って、一人で部屋で食べるのは空しい。
だから、ティールームに連れて行ってもらった。
甘いものが苦手だと初めて聞いた。
ほんの一口なら大丈夫。
だから、私が頼んだオペラをおすそ分け。
予約してあるホテルに行くために
二人で山手線に乗る。
ホテルへの地図持ってる?
地図は無いけど、西口を出て、○○通り沿いらしい。
ヤマは胸ポケットから、地図を取り出した。
えらい、さすが。
私のこと、ほんと、よくわかってるねと感激。
歩きながら、後ろを見てと何度も言われる。
ホテルから駅までの道順を覚えてってこと。
目印になるものを見つけて、ヤマは○○だよ
と、これまた何度も言わせる。
部屋の前で、鍵が開かないと一騒動。
ヤマにしてもらって、やっと開けられた。
で、もう1回自分でやってみてと、やらされた。
ようやく部屋に入れた。
私たちはバッグを投げ出し、サンダルを脱ぎ捨て
ベッドに倒れこんだ。
2004年08月15日(日)
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