朝の肌寒さもつかの間、日中は19℃まで気温が上がり
すっかり春の陽気に思えたが何故か風だけは冷たかった。
おそらく冬がかくれんぼをしていたのだろう。
「もういいかい?」「まあだだよ」と声が聴こえる。
今朝は義父の友人夫婦が勢揃いして何と6人も来てくれていた。
稲の発芽がどんどん進んでおり育苗機からハウスへと移動する。
それが終わればまた新たに種籾を蒔く仕事が待っていた。
義父一人ではとても無理な作業である。
6人もの助っ人にどれほど助けられたことだろうか。
義父は上機嫌でいつも以上に張り切っている様子だった。
持つべきものは友人か、これも義父の人望の厚さであろう。
工場は車検整備が一段落しており今日は定期点検が2台だった。
どちらも公用車で3ヶ月ごとに必ず点検を行っている。
一般のお客さんには殆ど点検をする人が居なくなった昨今であるが
公用車ともなれば法律を守るのが当然のことだろう。
おかげで商売繁盛である。大型車となれば尚更の事だった。
整形外科のリハビリがある日で3時前に退社する。
ラジオからは「桜」に因んだ歌が次々に流れていた。
誰もが桜の季節を待ち望んでいるのだろう。
今日は診察の無い日だったので医師とスマホ越しに面談をしたが
義父の事を気遣ってくれとても心配していた。
田植えの準備を始めていることを話すと「それはいかんぞ」と言う。
首の骨が折れているのにとんでもない事だと言うのだった。
しかしいったい誰に義父を止めることが出来るだろうか。
とにかく米作りを止めさせることなど到底無理な話である。
もはや義父は鉄人であった。決して老いぼれの老人ではない。
4時半に帰宅。娘が洗濯物を畳んでくれており大助かりである。
つかの間であったが夫と大相撲を観ていた。
優勝は高安だろうか。千秋楽が楽しみでならない。
夕飯には娘がシチューを作ってくれた。
私と夫は先に食べ始めていたが「おばあ出来たよ」と器に入れてくれる。
最近の娘はとても優しく会話も随分と多くなった。
けれども再就職の話は一切しない。それほど焦ってもいないようだった。
今更ながら病院の勤務がよほど辛かったのではないかと思われる。
何も話してはくれなかったが母親だからこそ感じることがあった。
いつまでも無職とはいかないだろうが今度は好きな仕事に恵まれて欲しい。
夕食後、めいちゃんが明日着ていく服に迷っていた。
卒業式なので在校生の送辞もあり生徒会福会長の責任も大きい。
緊張するかもしれないが立派にやり遂げることを願って止まない。
姉であるあやちゃん不在の卒業式であっても寂しくはないだろう。
もしかしたらあやちゃんの複雑な心境を一番理解しているのではと思う。
幼い頃からずっとずっと仲良しの姉妹だったのだ。
今ではふれあう姿も見られなくなったが一心同体なのかもしれなかった。
明日も春の陽気とのこと。桜の蕾も一気に膨らむことだろう。
寂しい思いをする人がどうか一人もいませんように。
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