朝は氷点下の冷え込みであったが日中はたっぷりの陽射しが降り注ぐ。
けれども風の何と冷たいことだろう。まるで「北風と太陽」であった。
山里は所々に雪を残し田畑は一面の霜である。
気温も平野部よりも低くぶるぶると震えあがるような厳しい寒さだった。
看板猫のみい太は何処で眠っていたのだろう。
義父が目覚めた時には姿が見えなかったそうだ。
朝食係のお客さんの車が見えると走り寄って来たらしい。
猫は寒さに弱いがみい太はとても逞しかった。
家の中では飼ってはやれず可哀想に思う時もあるが
野良猫の思いをすればどれ程恵まれていることだろうか。
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工場は怒涛の忙しさである。大型車の車検整備が終わらないうちに
新たな車検や一般整備が舞い込む。私の段取りが悪いのだろう。
代車を貸して帰ってもらったがこのままではとても手に負えない。
私の一存であったが明日の休みを返上することになった。
義父も賛成してくれ同僚も頷いてくれとてもほっとする。
とにかく今週中に引き受けた車検を完了しなければならない。
問題は古い大型車でやっと部品が揃ったところだった。
複雑な修理のため義父の腕が頼りである。
首の痛みも忘れたかのように今日も精を出してくれた。
医師から仕事は控えるように言われているらしい。
そんな忠告を素直に聞くような義父ではなかった。
来週には県立病院を受診するが医師が紹介状を書いてくれているとのこと。
私がリハビリの日に受け取る手筈が整っている。
あれこれと忙しかったが3時に退社させてもらった。
帰り道に平田町のお客さんに車検証を届けに行く。
郵送はなるべくしないように心掛けている。
今朝も山里のお客さんに届けに行ったのだが
義父が書いてくれた地図を頼りにまるで探検気分であった。
それが人里離れたぽつんと一軒家でなんだかわくわくする。
猪や猿が出て来そうな谷深い場所で薄暗い程日当たりが悪い。
なんと午後2時を過ぎないと日が当たらないのだそうだ。
わざわざ来てくれたのかとお客さんは上機嫌であった。
それこそが車検証を届ける意義なのだろうと思う。
買い物を済ませ4時には帰宅していた。
自室で一服してから洗濯物を畳む。
「三匹が斬る」は途中からだったがやはり面白くてならない。
今の俳優さん達で令和番が出来ないものかと思った。
例えばauのCMの桐谷君とかの3人組である。
きっと高視聴率間違いないと思うのだがどうだろう?
高齢者は時代劇に飢えていると云っても過言ではないはずである。
「想像のつばさ」は朝ドラの「花子とアン」だったか
私もよく想像のつばさを広げる時がある。
けれども私の場合は「妄想」が正しいのかもしれない。
決して在り得ないことを如何にもあるかのように想像するのだった。
例えば私の死後にこの日記が書籍化されるとか。
SNSの詩が認められ詩集が発刊されるとか。
そうなれば草葉の陰でどれほど報われるだろうかと思う。
叶わないことほど切ないことはなく儚い夢と消える運命であった。
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