朝は氷点下の冷え込みだったが日中は随分と暖かくなる。
空は春霞を思わせたがたっぷりの陽射しが降り注いでいた。
朝の山道で6人のお遍路さん。最近では珍しいことである。
皆さんリュックを背負っていたが野宿とは思えなかった。
おそらく近くの民宿から夜明け前に出立したのだろう。
一人一人の横顔に会釈をしながら追い抜いて行く。
お遍路さんの少ない季節で何だか得をしたような気分になった。
声を掛けたり触れ合うことは殆ど無くなってしまったが
旅の無事を祈る気持ちはいつまでも変わらない。

メダカの水槽に氷が張っており山里は一段と冷え込んでいた。
事務所に入ると暖房が効いており義父の心遣いを感じる。
今日はいつも通りに早起きが出来たようだ。
朝のうちに車検が2台完了。書類も整いほっと胸を撫で下ろす。
例の大型車は部品が揃わずしばらく保留することになった。
2月も既に中旬まで予約が入っており忙しくなりそうだ。
経理はまるで決戦日である。全ての支払いを済ませると
算用していた通り預金残高が底を尽く。
手持ちの現金で同僚のお給料を準備するとこれも底を尽いてしまった。
思わず「すっからかんじゃ」と声が出るほど愉快でならなかった。
嘆くことはいくらでも出来るが何事も気の持ちようである。
またゼロから始めれば良い。それも楽しみに変わるだろう。
それよりも遣り切った達成感で満たされていた。
諦めずによくここまで辿り着いたものだと我ながら感心するばかりである。
きっと母も見守ってくれたのだろう。おかげさまとしか言いようがない。
るんるんと2時半に退社。何とも爽快な気分であった。
明日は同僚が通院のため休業となり心置きなく休めるだろう。
もう2月である。何と駆け足の日々だったことか。
2月は「逃げる」と云うから追い駆けて行かなければならない・
買い物を済ませ3時半には帰宅していた。
夫に今日の報告をすれば「ようやったな」と褒めてくれて嬉しかった。
すっからかんになったことを話せば俺と同じだと笑っている。
そう云えばしばらく「お小遣い」を渡した記憶がなかった。
我が家も貧乏所帯であるが最低限の暮らしは出来ているようだ。
この寒空に電気を止められ灯油も買えない人も世の中に居る
それを思えば何と恵まれていることだろう。
貧困に喘ぐ人達が救われるような世の中になることを願って止まない。
暖房の効いた部屋でぬくぬくと暮らしている。
それがどうして当たり前のことだろうか。
|