冬晴れの一日。強風注意報が出ていたが風は次第に弱まる。
三寒四温の「温」が近いのではと思っていたが
来週には猛烈な寒波となり雪が降る日もあるようだった。
梅の蕾はまだ固くしばらく咲きそうにない。
立春を過ぎればと待ち望むばかりであった。
国道沿いの山茶花は随分と散ってしまい歩道を紅く染めている。
そんな道を白装束のお遍路さんが歩く姿はまるで絵のようであった。
冬遍路から春遍路へ。やがて桜の季節がやって来るだろう。
今朝は義父の姿が見えず朝刊もポストにそのままだった。
来客があり声を掛けたが返事もなく居室は電気も点いていない。
これまでもそんなことが度々あったのだがやはり心配でならなかった。
何か異変があり倒れているのではないか。もしや死んでいるのでは。
同僚に相談したら「二日酔いじゃないか」と笑い飛ばす。
昨夕義父の友人が訪ねて来ていたのだそうだ。
そうなれば当然のように飲み会である。
まだ首の痛みがあるのにまた無理をしてしまったのかと思う。
お昼になっても姿が見えなかったが2階の居室から物音が聞こえていた。
無事であることがわかりほっと胸を撫で下ろす。
午後また来客があり今度はやっと姿を見せてくれた。
例の大型車のお客さんで詳しく状態を説明しなければならなかった。
同僚では頼りなく義父の説明で納得してくれて助かる。
日数もお金も掛かるがなんとしても車検まで漕ぎつけなければいけない。
月末を明日に控え資金繰りに頭を悩ませていたが
今日は振込入金が数件あり預金残高が一気に増える。
早速算用をしてみたらぎりぎり何とかなりそうだった。
またもやゼロになってしまうが山越え谷越えである。
とにかく目の前の山を越えることが大切に思えた。
仕事がある限り収入が途絶えることはないだろう。
どれほどの崖っぷちでも目前の海の広さを忘れてはならない。
3時前に退社。夫から電話がありお昼に茶碗を割ってしまったらしい。
買い忘れないよう「ちゃわんちゃわん」と呟きながら帰った。
百均でそこそこの茶碗を見つけたがいかにも安っぽい。
仕方なくサニーマートの食器売り場で買うことにしたが
たかが茶碗なのに何と高いことだろう。750円もするのだ。
けれども夫の喜ぶ顔を見たさにレジに向かっていた。
夕飯時、夫の何と嬉しそうなことだろう。
単純な人なのだ。そう云うところが憎めず好きであった。
若い頃から価値観の違いに悩むこともあったが
長く連れ添っているうちにそれもあまり気にならなくなる。
老いるほどに優しくなり怒ることなど殆ど無くなってしまった。
「やはりこの人だったのだ」と運命さえ感じるのだった。
だからこそ失うのが怖い。私独りでは生きる自信などあるはずはない。
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