異常な暖かさも今週いっぱいのようだ。
来週からはまた真冬の寒さが戻って来そうである。
職場の紅梅の蕾が膨らみ始めているが
きっと寒さに戸惑うことだろう。
義父の友人が建設会社を経営しており
数日前から重機を運び入れ隣地との境を整地している。
流石に義父も田んぼへ行く訳にも行かず手伝っているのだが
今日は右腕が上げられないほどに痛むらしく辛そうであった。
おそらく首からの神経が悪さをしているのだろう。
病院へ行くことを勧めたが「それどころではない」と云って聞かない。
なんと我慢強いことだろうか。心配であったが見守る事しか出来なかった。
重機であらゆるところを掘り起こしていたので
紅梅も薙ぎ倒されるのではないかとはらはらしていたが
母の紅梅である。義父もそれは承知していてちゃんと残してくれていた。
枯れ草は綺麗に刈り払われ紅梅がいっそう引き立つ。
母もきっと喜んで微笑んでいることだろう。
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昨日の喉の痛みは嘘だったかのように薄れていた。
喉に少し違和感があったが気になる程ではない。
一回きりの抗生剤であったがおそらくそれが効いたのだろう。
副作用の心配もあり今日はもう服用しなかった。
ゲンキンな者で喫煙も我慢することをしない。
まさに怖いもの知らずであった。
そのうちまた罰が当たるだろうがその時はその時のことである。
死に至るのであれば覚悟をしておかなければいけないだろう。
帰宅前に親友のNちゃんからメールが届いた。
返信よりも声が聴きたくなり直ぐに電話してみる。
来週仕事で四万十市に来るのだそうだ。
郷土史のガイドをしており市内で「パネル展」が開催されるとのこと。
是非見に来て欲しいと頼まれたが平日なので即答出来なかった。
何よりもNちゃんに会うのが躊躇われてならない。
足が不自由になってから一度も会ったことがなかった。
決して惨めには思わないが何となく気が進まないのである。
Nちゃんだけではなかった。他の友達とももう会いたいとは思わない。
今回が今生の別れになってしまうかもしれないがそれでも決心出来なかった。
最後にNちゃんから重要な話があり耳を疑う。
「俺、癌になったから」と笑いながら云うのであった。
幸い早期発見で手術をすれば命に関わる事はないようである。
笑っていても内心はどんなにか不安だろうかと思った。
これまで一度たりとも弱音を吐いたことない彼である。
他の友達には誰にも話していない事を報せてくれたのだった。
それだけ私を信頼してくれているのだろう。私ももちろん同じであった。
会わなければいけないのではないか。帰宅しながらずっと考えていた。
そうしなければきっと後悔するような気がしてならない。
いつが最後になるのか分からない。
ある日突然は誰にでもあることなのだ。
空はにわかに曇り夕陽を見ることが出来なかった日。
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