ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2024年11月15日(金) 私はクレーマー

朝から降り始めた雨が今も降り続いている。

気温は20℃程で幸い冷たい雨ではなかったが

なんだか初冬の雨には思えず春先の雨のようであった。


父の命日であったが何も出来ず一日が暮れる。

お墓もなく遺骨は弟の家にそのままであった。

人並みの事が出来ない。最初は不憫でならなかったが

弟家族と共に暮らしているのだと思えるようになった。

生前の父は弟の家を訪ねても玄関から一歩も立ち入らなかったそうだ。

いったい何に遠慮していたのだろう。その理由は未だ分からぬままである。


もう21年の歳月が流れた。つい昨日の事に思えてならない。

最後に会った日から僅か9日後のことであった。

誰にも看取られずにアパートの一室で孤独死を遂げたのだった。

テレビを点けたまま下着姿で息絶えているのを

訪ねて来た友人に発見された。それは16日の夜のことである。

死後24時間を経過していた。なんと憐れな最期だったことだろう。


その夜は父の亡骸に添い寝した。それが少しも寂しくはなかったのだ。

きっと父の魂がずっと傍に居てくれたのだろう。

私はそれ以来父に守られ続けている。





仕事を終えてサニーマートで買い物をしていたら

なんとサニーマートから着信があった。

昼間ホームページの「意見要望」からメールを送信していたからだろう。

クレーマーにはなりたくなかったがそう思われても仕方ない。

お惣菜売り場の揚げ物がいつも揚げ過ぎているため改善を願った。

家族には不評で先日は固くて食べられなかったのだ。


店長さんと揚げ物担当と思われる女性と会った。

まさかこれ程までに大事になるとは思っておらず恐縮の至りである。

詳しい話を聞けば増々気の毒になって頭が下がるばかりであった。


揚げ物は全て会社のマニュアル通りに揚げているのだそうだ。

食材ごとに揚げ時間が決められておりタイマーを備え付けているらしい。

決してわざと揚げ過ぎていないことを初めて知った。

ただあまりの忙しさにうっかり遅れてしまうこともあるだろう。

ロボットではないのだものそれは当然のことだと思う。

こちらは揚げて貰っている作って貰っている方である。

毎日どれ程助かっていることだろうか。


女性店員さんはとても険しい顔をしてずっと俯いていた。

もしかしたら私はとんでもないことをしてしまったのかもしれない。

朝から晩まで一日中揚げ物をしている人の苦労を考えてもいなかった。

失敗する時もあるのだ。マニュアル通りには決して行かない。


クレーマーの後悔はあったが不思議と気分が良かった。

話してみないと分からないものだなと思う。

きっとこれからも揚げ物を買い続けることだろう。


足の悪い私を気遣ってくれて店長さんが「どうかお気をつけて」と

言ってくれたのがとても嬉しかった。





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