穏やかな晴天。気温が異常な程に高くなり25℃と夏日になった。
流石にもうエアコンは点けなかったが長袖では汗ばむ程の陽気である。
季節は初冬のはずなのに信じられず戸惑うばかりであった。
今朝は職場に着くなりやまももの木が伐採されておりおどろく。
樹齢はいかほどなのか定かではないがかなり大きな木であった。
梅雨時にはたわわに紅い実を付け食べることも出来たのだが
実が落ちて雨に濡れると地面にへばりつき厄介でもあった。
夏の間は大きな木陰となり風が吹くと何と涼しかったことだろう。
けれどもこれから寒い季節になると鬱蒼とした茂みが冷たさを増すのだ。
父の発案だろうか。友人がチェーンソーで薙ぎ倒したらしい。
急に思い立ったとは思えず以前から考えていたことかもしれない。
確か母が植えた木だと聞いていた。もちろん母の許しなどないが
生きていればどんなにか嘆いたことだろうと思う。
しかし辺りが随分と明るくなった。空も広く見えるのだ。
父の友人曰く。切ってもまた直ぐに大きくなるのだそうだ。
それだけ生命力の強い木なのだろう。ちょっとした心機一転である。
月曜日の仕事は忙しくてんてこ舞いをしていたが
整形外科のリハビリがあり2時半過ぎに終らせてもらった。
今週は木曜日の予約が取れず今日しか空きがなかったのだ。
休むことも考えたがリハビリのおかげで足の痛みが薄れている。
出来る限りと思ったのだ。いつも藁にも縋る思いであった。
次回は10日後で何だか心細くてならない。
買い物を済ませ4時過ぎに帰宅した。夫は大相撲に夢中である。
とにかく一服をと思い二階の自室に行ったら室温が28℃もあった。
冷たいコーヒーが美味しい。煙草を立て続けに2本も吸う。
そこで新たな煙草を買い忘れていたことに気づく。
今夜の分はなんとか足りそうだが明日の早朝の分が無かった。
そこで潔く諦めてしまえば良いのだがそうは自分が許さない。
こそこそと近くのローソンへ走る。まるで密売人に会うみたいだった。
ああ嫌だ嫌だ。いったいいつまでこんなことを続けるのだろうと思う。
断ち切れない事実に圧し潰されてしまいそうになる。
無様な愚か者とどれ程自分を責めても一向に救われることはない。
開き直るのもそろそろ限界だと思う。このままでは雑魚の開きである。
ハーフムーンなのだそうだ。どうした訳か窓からは見えない。
星はたくさん輝いているのに月は何処に行ったのだろう。
私みたいな者に見られてたまるものかと姿を隠したのかもしれない。
そうか、そうか、そこまで私を蔑むのかと涙も出やしないのだ。
落ちぶれた者である。けれどもたったひとつ誇りに思うのは
この精一杯の「いのち」であった。
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