最高気温が21℃。やっと秋らしい気候になった。
まさかもう夏日になることもないだろう。
朝の国道で向日葵に似た花が咲いておりはっとスピードを落とす。
皇帝ダリアであった。向日葵よりもずっと背高のっぽである。
去年は見かけなかったので今年の春に植えたのだろうか。
日が短くならないと花芽が出来ないのだそうだ。
夏の花に思いがちだが晩秋から初冬にかけて咲く花らしい。
花の色はピンク系が多いが黄色い花もあるのかとおどろく。
しばらくは朝の道が楽しみになった。明日の朝もきっと会えるだろう。
今日は亡き父の誕生日であった。生きていれば95歳となる。
死んだ人の歳を数えるほど切ないことはないが
どんな老人になっていただろうかと思いを馳せた。
生涯不運な父だっただけに少しでも幸せであって欲しい。
そんな願いも今は伝える術もなく何と儚いことだろうか。
21年前の今日。父と最後に会った日のことを思い出していた。
まさかその9日後に亡くなるなどと思ってもいなかったのだ。
明くる日の夕方電話がありたわいのない話をしたのだが
それが父の最後の声になってしまった。
思い出せば思い出すほど父が憐れでならない。
せめて生きているうちに孫の顔を見せてやりたかったと悔やまれる。
薄情な娘だった。母よりもずっと父のことが好きだったのに。
2時過ぎに仕事を終えて帰路に就く。
取引先の中古部品店に届け物があり立ち寄っていた。
息子の職場の目と鼻の先でありしばらく会っていない息子を想う。
便りのないのは元気な証拠だが気掛かりなこともあった。
娘と同じであれこれと干渉してはいけないのだろう。
けれども子供は幾つになっても「こども」である。
母は死んでも母であり続けたいものだ。
感傷的になってはいけないのだが今夜はどうしようもない。
三日月を眺めているだけで涙が出そうになる。
辛いことなど何ひとつないのにいったいどうしたことだろう。
生きているだけで丸儲けなのにその儲けを無駄にしているようだ。
命あることほど有難いことはないのに感謝しきれずにいる。
それは同時に死の不安であり心細くてならない。
今夜は書くことが出来た。明日の朝も書けるだろうか。
最後かもしれないといつも思う。
どうしようもなく崖っぷちに立っている。
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