ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2024年07月16日(火) メダカの一生

曇りの予報だったが思いがけずに陽射しがあった。

気温も久しぶりに30℃を超え真夏日となる。

猛暑を体験したせいかさほど暑さを感じない。

むしろ空に両手を広げ陽射しを受け止めたいほどだった。


すっかり忘れていた夏の花がある。

それはお大師堂の片隅に毎年咲いていたのだが

お参りを疎かにするようになって失念してしまっていた。

大きな花なので人影のように見え白装束のお遍路さんと重なる。

いつも草刈りをしてくれているSさんに切り倒されたことがあって

抗議をする私に「毎年咲くやないか」と反論されたことがある。

おまけにSさんは「この花は好かん」と言ったのだった。


今年は無事だろうか。気になってしょうがないが見に行けない。

いや行けないのではなく行かないのだ。

これも私の大きな怠慢のひとつになってしまった。

だからなのかまるで夢のような花になり心から離れようとしない。

「浜木綿の人影に似て振り向けば大河のほとり行く夏遍路」




連休明けの仕事は怒涛の忙しさだった。

午前中は特に来客が多く対応に追われる。

バイクの一日車検が入っており出掛けていた義父を呼び戻した。

早朝から畔の草刈りをしていたらしくいささかご機嫌斜めである。

けれどもお客さんには愛想よく振舞ってくれなんとほっとしたことか。

バイクはハーレーなので同僚も義父も乗ることが出来ない。

お客さん自ら検査場へ運んでくれて何とか車検を完了する。

書類を作成している間も来客が絶えなかった。


お昼前にやっと一段落して義父は逃げるように田んぼに走る。

「お昼ご飯は?」と訊けば「食べよる暇があるもんか」と

とにかく気が狂ったように見えた。とても80歳には見えない。


午後2時前だった。義父から電話があり空腹で倒れそうだと言う。

一旦帰って来ると云うので大急ぎでお弁当を買いに行く。

売れ残りであったが鶏肉の入っていないのがあって良かった。

冷房の効いた事務所でお弁当を掻き込むとまた直ぐに出掛けて行く。

パワフルには見えたがどれ程身体に堪えていることだろう。

決して弱音を吐かない義父だけに心配でならなかった。



工場は忙しかったが同僚に労いの声を掛け2時半に退社する。

少しでも早く帰って横になりたくてたまらなかった。

いくら火曜日からのスタートでも気負い過ぎてはいけない。

程々に肩の力を抜き週末まで乗り切らなければと思う。



SNSに例の同人誌の主催者の方からメールが届いていた。

とても丁寧な文面で恐れ入る。きっと誠実な方なのだろう。

その人柄を感じるだけに返信にも心を込めなくてはいけない。

遠回りではあったが今は参加する意思のないことを伝えた。

どうして本音が言えようか。私にもそれ位の常識はある。

しばらくは読者側として仲間入りさせて貰うことにしたが

おそらくもう購入することはないだろう。

本当に申し訳ないがそれが私の本音であった。

まるで「メダカの水槽」なのだ。私のプライドが許さなかった。


いったい何様なのだと罵られても私はメダカにはなれない。

もしなれたとしても水槽ではなく自然の川を泳ぎたいと思う。

群れから離れて独り自由気ままに泳いでいたいのだった。


そうそう永くは生きられないだろう。

誰にも守られてはいないのだ。

そんなメダカの一生を書き残して置きたいと願って止まない。


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