雨が降りそうで降らず。蒸し暑さはなく過ごし易い一日。
道端の野薊がもう綿毛になっていてはっとする。
夏の間ずっと咲き続けるとばかり思い込んでいたのだ。
春から初夏の花なのだろう。とんだ勘違いであった。
けれどもたんぽぽの綿毛のように旅をするのに違いない。
それもすべていのちである。そうして辿り着いたところで根付く。
人間も綿毛のように生きられないものだろうか。
風に吹かれながら自由気ままに旅をしてみたいものである。
「思い煩うことなかれ」今朝はSNSでそう発信し
まるで自分の言葉に励まされるように過ごしていたのだが
どこでどう間違ったのか邪念のような思いに苛まれる。
いくら振り払っても気がつけばとんでもないことを考えているのだった。
仕事は好きなはずなのにゴールを思い浮かべていた。
縁起でもない話だがそれは義父の「死」しかないのである。
どんな死に方をするのだろうとそこまで考えてしまう。
事故死なら保険金が入るが病死なら何も入って来ないのだ。
会社の後始末はどうすれば良いのだろう。多額の借金もある。
それを全部私が背負わなければいけないのだった。
そこまで考えてしまうともう崖っぷちである。
なんと薄情で罪深いことか。義父に申し訳なく涙が出そうになった。
「思い煩うことなかれ」なのだ。何事もなるようにしかならない。
難破船のような会社であるが広い海を漂い続けているのだ。
もしかしたら何処かの島に辿り着くかもしれないではないか。
どうして悪い方へとばかり考えてしまうのだろう。
なんとも愚かな自分を殴りたくなった。
そうして義父の姿に手を合わすように謝り続けていた。
いつも通りに3時に退社。ラジオからは高田みづえの「私はピアノ」
口ずさみたくても思うように声が出ないのが情けない。
情けないことはいっぱいあるが数えてみてもどうしようもないのだ。
とにかくさらりさらりと水に流す。余計なことを考えてはいけない。
夕食時、めいちゃんが土曜日にある運動会の話をしていて
あやちゃんが不機嫌になるのではとはらはらしていたのだが
そのあやちゃんが「めいは赤組?白組?」と訊いたのでほっとする。
「赤ぐみ〜」めいちゃんが元気な声で応えるとあやちゃんが微笑む。
そんなものなのだ。みんなみんなあっけらかんと生きている。
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