曇り日。風はあったが少し蒸し暑さを感じる。
土手や道端に野薊の花が見られるようになった。
葉も茎も棘だらけであるが花だけはやわらかい。
おそらく手折る人もいないだろう。
そうして自分の身を守り続けている。
秋になると花は綿毛になり自由自在に飛んでいくのだった。
実は私にも棘がある。目には見えないかもしれないが本当の事だ。
私だって身を守らねばならない。そうして自由でありたいと願う。
今朝は山里の職場に着くと義父の姿があった。
田起こしが一段落したのかと声を掛けたら
トラクターが故障してしまったのだそうだ。
一瞬ドキッとする。実は出勤前に母の遺影に手を合わせ
アクシデントがあっても良いから義父を引き留めて欲しいと願った。
その通りになったのだ。きっと母のおかげだろうと思う。
トラクターの修理をするにも今日は部品が手に入らないのだそうだ。
義父もすっかり諦めている様子で工場の仕事をする気になっていた。
なんとほっとしたことだろうか。内心ではしめしめと思う。
午前中からお昼過ぎまで車検完了の書類を作成する。
忙しかったが嬉しくてならない。肩の荷が下りたような気分だった。
私はこれでも専務であり段取り課長でもあるのだが
社長である義父が不在だと手も足も出せないのだ。
ここ数日は空回り状態ですっかり困り果てていた。
仕事は好きだが責任が重い。だからこそ遣り甲斐があるのだと思う。
そうして未だゴールが見えず走る続けるばかりであった。
3時に退社。その前に短歌を書き殴っていた。
お昼休みが取れなかったので仕方ないがやはり後ろめたさがある。
そんな気持ちで書いた短歌に満足出来るはずがなかった。
今日は休めば良かったのだ。発信してから後悔する。
「これだけは」と常に自分に課しているようだ。
「絶対に」となると自分を追い詰めてしまうのだろう。
もっと自由気ままになれないものかと不甲斐なさを感じる。
サニーマートで買い物をし4時過ぎに帰宅した。
嬉しいのは娘が洗濯物を畳んでくれていること。
新たな仕事が見つかればまた忙しくなるだろう。
今のところまだその予定はないらしく毎日寛いでいるようだ。
私もその時が来るまで甘え続けていたいと思っている。
夕飯は予定通りに「破竹の天ぷら」にした。
揚げながら娘と味見をしたら柔らかくなっておりとても美味しい。
大鍋一杯に煮込んでいたのを全部揚げたら大皿にてんこ盛りになった。
とにかくせっせと食べる。無駄にせずに済み何よりだった。
そろそろ8時半になろうとしている。
今日も燃え尽きたのか心地よい達成感しかなかった。
書くことから始まり書くことで終われるなんてなんと幸せなことか。
そのせいかある日突然書けなくなることが怖くてならない。
今日に栞を挟む。そうしてまた明日を開こう。
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