日中は霧雨だったが夕方から本降りになる。
もう田植えを始めている農家もあり恵みの雨になることだろう。
桜とバトンタッチをするように藤の花が咲き始めた。
躑躅も菖蒲もである。山吹も小手毬もである。
春から初夏にかけて咲く花のなんと多いことだろう。
鬱々とはしていられない。こころにも花を咲かせなければ。
低迷はまだ尾を引いているようだが少しだけ吹っ切れたようだ。
季節の変わり目のせいかもしれない。気圧も関係しているのだろう。
物事を楽観的に受け止めることが出来ずつい悲観的になってしまう。
けれども何事も気の持ちようなのではないだろうか。
昨日のように嫌なことがあってもさらりと水に流してしまいたい。
いつまでも拘っていたら一歩も前へは進めないだろう。
深い穴を掘って「ああ嫌だ、嫌だ」と叫んでみたい。
気が済むまで叫んだらさっさと穴を埋めてしまえば良いのだ。
そうすればもう済んだこと。二度と気に障ることはないのだと思う。
大切なのは他人の言動に振り回されないことである。
私にだって芯はあるのだ。その芯をなんとしても守らねばならない。
先日自損事故を起こしたばかりの高齢のお客さんが
明日一日だけ代車を貸して欲しいと申し出て来る。
伊野町の免許センターまで運転免許の講習を受けに行くのだそうだ。
近くの免許センターならまだしもかなりの遠方であった。
認知症はまだ大丈夫そうだが長距離運転は心配でならない。
道中何もなければ良いがまた事故を起こす危険もあるのだった。
義父とも相談の上で仕方なく貸すことになったが
慣れない車のせいかすでに発進から運転がおぼつかない。
おまけに伊野町の免許センターの場所もよく分からないらしい。
これは困ったことになった。明日はいったいどうなることだろう。
3時に退社。買い物を済ませ帰宅したら庭に娘の車があった。
店舗の後片付けは今日で終わると言っていたので早目に帰れたのだろう。
全てが終り寛いだ様子。すっきりとした良い顔をしていた。
玄関ではなく座敷にあやちゃんのランドセルと上履き入れがある。
娘は母親として精一杯の準備をしていたのだろう。
それがとても切なかった。赤いランドセルが泣いているように見える。
「やっぱり駄目やったがやね」娘に声を掛けたら「うん」と小さく応えた。
その後に玄関のチャイムが鳴り担任の先生が来てくれていた。
応対している娘の声がやたら大きい。笑い声も聴こえる。
それがなんだか不自然に感じ娘の複雑な気持ちが伝わってくる。
あやちゃんも一緒に居たのだが一言も声は聴こえなかった。
先生は6年生の新しい教科書を届けに来てくれたようだった。
5年生の一年間はなんとか遅れを取らずに済んだが
6年生になると勉強もずっと難しくなることだろう。
いくら努力家のあやちゃんでも心配でならなかった。
娘は何も言わない。だから私も何も言えない。
そうして当然のようにあやちゃんも何も言ってはくれなかった。
夕飯は豚カツ。あやちゃんはレトルトカレーで「カツカレー」だった。
「めっちゃ美味しい」と今夜も満点の笑顔である。
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