ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2024年04月01日(月) 「いのち」の花

今日こそはと快晴。黄砂の飛来もなく真っ青な空だった。

気温はほぼ夏日であったが爽やかな風が吹く。


郵便局へ行ったら入口に桜の花びらが沢山落ちていて

もう散り始めたのかと切なくてならない。

ソメイヨシノより少し早く咲いていたのだった。

局長さんが大島桜だと教えてくれたのはつい先日のこと。

純白の桜でソメイヨシノより花が大きく葉が緑なのが特徴である。

私はこの桜がとても好きで毎年咲くのを楽しみにしていた。

思いがけない桜吹雪だった。なんと儚いことだろうか。


帰り道の平田町ではソメイヨシノが満開になっており

お花見客が多く見られた。乳母車の赤ちゃんもいる。

青空に吸い込まれてしまいそうな桜を仰いでいると

なぜか胸が熱くなり涙がこぼれてしまいそうになる。

ふとどうしてしまったのだろうと自分が分からなくなった。

母が死んでも涙ひとつこぼさなかった私がである。

「そうか、そうか咲いたのか」と心の中でつぶやいていた。

誰に語り掛けていたのだろう。あの子かもしれないとふと思った。

咲かせてあげたかったのだ。それは「いのち」の花である。




帰宅すると当たり前のように娘が居る。

夕陽を受けて娘の車がきらきらと輝いて見えた。

なんだか嫁いだ娘が里帰りをしているような気がする。

「おかえりなさい」と言われてはっと我に帰った。


この安心感はなんだろう。肩の荷が下りたようにほっとする。

気が抜けたようになりつつ日課の短歌を書いた。

制限時間は30分である。おかげで穏やかな気持ちで書けたようだ。


「断捨離の母の春着に手を添えて懐かしきかなあの日の笑顔」



久しぶりに娘と肩を並べて夕食の支度をする。

もうばたばた慌てることもない。もちろん血圧も上がらない。

5時半には晩酌を始める夫には鯛のお刺身を作った。

後は「椎茸のタタキ」「豚ロースの味噌焼き」

いつものように夫と二人で先に食べ始めていたのだが

娘夫婦が庭で何かこそこそとやっているのが気になった。

何かを焼きながらビールを飲んでいるらしいのだが

いったい何だろう。匂いも漂って来ないのだった。

夫が口に指を当てて「黙っていろよ」と合図をする。

好きなようにさせるのが一番なのだろう。

もう10年も一緒に暮らしているとあれこれ秘密もあるらしい。


日が暮れると何事も無かったように家の中に戻ってくる。

「さあご飯食べようかね」と娘が言うのでくすっと可笑しかった。

あやちゃんは今夜もご機嫌である。それが何よりも嬉しく思う。


我が家の居間にはメモリアルボードが飾ってあって

歩き始めた頃のあやちゃんの写真もある。

そのあどけない笑顔が私は好きで好きでたまらない。

10年ひと昔と云うがまるで昨日のことように思う時がある。






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