二十四節気の「小満」いのちが満ち満ちていく頃。
道端の草にも蟻んこにだっていのちがある。
どんなに小さないのちでも陽の光を浴びて輝くことが出来る。
我が家の燕が巣に寄り付かなくなってまた新しい巣を作り始めた。
夫が言うには昨日大きな蛇が巣に近づいていたのだそうだ。
なんとか追い払ったらしいが巣を荒らした後だったのかもしれない。
雛が居た様子はなかったが卵を飲み込まれた可能性もある。
危険を察したのだろう、早朝からせっせと土を運び始めていた。
それが困ったことに玄関ドアのすぐ真上なのであった。
燕には何の罪もないがさすがにその場所は厄介である。
仕方なくその場所にアルミホイルを貼り付けることにした。
アルミホイルはキラキラ光るせいか燕は苦手なようだった。
「追い払う」と云えば聞こえが悪いがそれが一番の得策である。
夫が脚立に上がりその作業をしていたところ
下りる時に足を踏み外してしまい私の目の前で転倒してしまった。
一瞬のことで支えることも出来ず玄関先の花の上に落ちたのだ。
プランターは割れて花は折れてしまい庭先は泥だらけになった。
私はと云うと夫よりも花が心配で思わず悲鳴を上げていた。
起き上がった夫は「大丈夫や、なんちゃあじゃない」と言ったのだけれど
花たちのなんと無残なことだろう。私は涙が出そうになった。
しかし花の上に落ちなかったら夫は怪我をしていたことだろう。
あたりを片付け花も植え替えなければいけなかったが
足が痛くて思うように動くことが出来なかった。
そうしたら夫がまるで罪滅ぼしのようにして片付けてくれたのだった。
めいちゃんが花に水を掛けてくれて少し元気になったようだ。
元々は燕騒ぎ。いや蛇騒ぎだろうか。
結局は誰のせいでもなく一件落着となって良かったと思う。
燕は今頃どうしているだろう。もうすっかり日が暮れた。
我が家が気に入って毎年来てくれたのに気の毒なことをしてしまった。
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