2023年04月17日(月) |
ドラえもんのポケット |
全国的にやっと春本番かと思いきや北海道では雪が降ったようだ。
札幌では桜が咲いているのにまさかの雪だったことだろう。
「名残り雪」だと思えば風情があるが異常気象のようにも思える。
西日本は新緑の季節。若い緑がなんとも鮮やかである。
桜(ソメイヨシノ)は花が散った直後には薄桃色の葉だけれど
日が経つにつれて緑色に変わっていくのだった。
薄桃色の時期を葉桜と呼ぶのかもしれないが詳細は分からない。
私は緑色の葉の方が好きだから今を葉桜と呼びたいと思う。
わくわくとする程ではなかったが期待しながら職場に向かう。
二日間の禁煙から解放されるのだから当然のことだろう。
この段階で子豚には禁煙しようとする意思など全くなかった。
タイムカードを押すなり喫煙所に向かったのは言うまでもない。
しかしそこには先週の残りが3本ほど残っているだけだった。
同僚は確かもう一箱買い置きがあると言っていたはずである。
まさか気が変わったのではあるまいかと一気に心細くなった。
ええい吸っちまえと思いその3本を立て続けに吸ってしまう。
もう覚悟は出来ていたしすぐにでも禁煙体制に入るつもりだった。
それなのにどうしたことかふらふらと喫煙所に向かってしまうのだ。
同僚に「もうこそ終わりだよね」と言ったらにやりと笑っている。
そうして作業ズボンのポケットに手を入れたかと思うと
「ほうれ」と声を上げながら私を目掛けて煙草を放り投げたのだった。
それは正しくピアニッシモアイシーンであった。
同僚はやはりドラえもんだったのだ。子豚は感激で胸が熱くなっていた。
「こぶ太君もうこれが最後やけんね」と言う。
子豚は素直に頷いていた。この場に及んでどうして逆らえようか。
ドラえもんには本当に良い夢を見させてもらったように思う。
我慢も出来ず辛抱も出来なかった子豚に救いの手を差し伸べてくれたのだ。
けれども本当の意味で救われるのはこれからだと思う。
子豚は消滅するだろう。それこそが本望なのではないだろうか。
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