まだ冬と便りが届く窓辺には春を知らせる一輪を挿す
冬の背中を見送ろうとする
潔くは去れはしないと
何度も振り向くけれど
別れの手紙がここに在る
私は咲いたばかりの一輪を
花瓶に挿して語らっていた
冬に聞こえないようにと
それはとても小さな声で
足音が遠ざかっていく
冬よさようなら
一見それなりに詩らしく書いているが
最後の一行ですべてが台無しになっている。
歌謡曲ではあるまいし「冬よさようなら」はないだろう。
小学生でももっとまともな詩を書けるような気がする。
いやそんなことを言ったら小学生に失礼であろう。
子供の詩は素直で純真で素晴らしくおとなは絶対に適わない。
自信のなさに拍車をかけるようにどんどん落ちぶれていく。
このままでは一生詩人と認められることはないだろう。
それでも良いとずっと思って来たけれど醜い欲が邪魔をしているようだ。
欲張りなのは子豚も同じ。今日も「もっと、もっと」ばかりとなる。
同僚が心を鬼にしてくれたらと身勝手なことも考えていた。
せがむを通り越してたかる。それでも同僚は決して怒らないのだ。
それにずるずると甘えている子豚は情けなくてならない。
今日は悪魔の囁きが聴こえた。なんとこのままで良いのだと言う。
家では禁煙。職場では喫煙。煙草は一切買わなくて良い。
そんな好都合なことがまかり通って良いものだろうか
子豚は人間ではないけれど人間の心はよくわかるつもりである。
いつまでも迷惑を掛け続けてはいけない。
子豚もおとなにならなくてはいけないのだ。
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