冷たさはあとどのくらい訊く空に星を散りばめ暖をとる夜
睦月も晦日
もう少しで春が立つ
冬の背に息を吹きかけ
別れ道まで見送っていく
空はその冷たさに深く
拘っているけれど
星に何の罪があるのだろう
私は手をかざしている
指先に宿るささやかな春があった
いつも読んで下さっている方から「素敵な詩ですね」と言ってもらった。
いったい何処が素敵なのか私には全く理解できない。
そもそも「素敵」という言葉があまり好きではないので戸惑う。
でも感想などめったにもらうことはないので素直に喜ぶべきだろう。
まあそれなりに書けたのだと思う。「上等じゃないか!」
職場に向かいながら清々しい気持ちが込み上げて来た。
今日からもう煙草を吸わなくても良いのだと思うと嬉しくてならない。
それはとても矛盾しているかもしれない。
どう説明すれば良いのだろううまく言葉に出来ないけれど。
とにかく完全に煙草を断つことで生まれ変われる気がしていた。
同僚が出勤して来て「まさかね」と一瞬思う。
よせば良いのに喫煙所まで確かめに行っていた。
もちろん煙草を置いていないことを確かめるためである。
そうしたら何と云うことでしょう。
いつもの場所に3本の煙草が置いてあるではないか。
あんなに約束したのにどうして守ってくれないのだろう。
ちょっと怒りがこみあげて来てしまった。
そうかと思えばほくそ笑んでいる。「しめしめ」と思ったのか。
そうだとするとあまりの情けなさに自分に腹が立ってくる。
冷静になり考える。今日は3本がノルマなのだ。
明日は2本になるだろう。明後日は1本になり明々後日こそがゼロだ。
同僚はそうしながら私を禁煙に導こうとしているのに違いない。
ずっと弟のように思っていたが、なんと素晴らしい姉弟愛だろう。
その愛になんとしても応えなければいけない。
鬱々と自己嫌悪に陥ってしまいそうだったが気分が楽になった。
もう煙草に振り回される人生は御免だと思っている。
「やってやろうじゃないか」子豚の心は明日に向かっている。
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