冬うらら。風もなくまるで春先のような暖かさとなる。
窓を全開にして陽だまりで本を読むひと時は至福なり。
目を休めるために時おり川向の山々を眺めていた。
のどかな景色にこころが洗われるようであった。
午前中にやっとお大師堂へ。すっかり遅くなってしまった初詣。
無事に新年を迎えられたことに感謝しつつ
今年の平穏無事を祈る。般若心経を唱えればとても清々しくなった。
さらさらと流れる大河。水は清く無心になり海へ辿り着くだろう。
今日は43回目の挙式記念日。じいちゃんは忘れていたようだけれど
すぐに思い出してくれて照れくさそうに笑っていた。
私はすでに妊婦だったため11月には家族として迎え入れられ
入籍は12月の私の誕生日にしたのだった。
私は再婚だったけれどじいちゃん(夫)はもちろん初めてのこと。
挙式はそれは盛大で沢山の人達の祝福を受けた。
私側の親族は義父の計らいで一度も会ったことのない人ばかり。
それでも母はとても満足そうな顔をしていたことを憶えている。
もう実父の娘ではなくなったのだなと観念せずにはいられなかった。
義父と母が揃えてくれた嫁入り道具も有り難く受けとめていた。
夫側の親族がみな義父の事を「おとうさん」と呼ぶ。
私はまだどうしても「おとうさん」とは呼べなかったのだけれど。
新婚生活も実感が湧かないまま日々が流れていくばかり。
夫はいつも帰宅が遅く舅や姑と夕食を摂ることが多かった。
日に日に大きくなるお腹に「この子が生まれたら」と希望を託す。
初孫として生まれた息子も今年で43歳になる。
山あり谷ありの人生だったけれどここまで乗り越えて来たのであろう。
「金婚式まであと7年だな」とじいちゃんが言ってくれた。
それはきっとお互い長生きをしようなと言うことに等しい。
縁あってこそ巡り合えたひと。私はよき伴侶に恵まれたのだと思う。
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