穏やかな晴天。とても清々しい気持ちで迎えた元旦の朝。
一歩あゆみ出したのだなと思う。頂きまで登れば
遠いはずの空もきっと近くなるだろう。
お昼には息子とけい君が来てくれて新年会を始める。
息子は元旦に休めるのはめったにないことであり
おまけにコロナ禍で新年会も遠ざかっていた。
よほど嬉しかったのか飲む気満々で上機嫌であった。
我が家で一時間程飲み次は義妹宅に押し掛け二次会。
従兄弟達に会うのも久しぶりで盛り上がっていたようだ。
3時を過ぎても帰らず様子を見に行ったら
かなり飲んだらしく目も虚ろになっていた。
義妹が「せっかく楽しんでいるのだから」と言ってくれる。
仕事の苦労に重ね家庭の苦労もありストレスも溜まっていたのだろう。
羽目を外したい気持ちもじゅうぶんに理解できた。
「好きなだけ飲ませてやれや」とじいちゃんも言う。
4時前にやっと帰って来てそのまま鼾をかきながら眠っていた。
それから1時間程して激しく嘔吐し大変なことになる。
慌てて洗面器を持って行ったけれど間に合わなかった。
「おかあ済まんな」と謝りながら顔は真っ青になっていた。
落ち着くまでしばらく様子を見てマンションまで送り届ける。
泊まっても良かったのだけれどけい君が帰りたがっていた。
父親の尋常ではない姿が不安になったのかけい君は途中で泣き出す。
助手席のけい君の手を握りしめながらなんとかマンションに着いた。
マンションには灯りもなく真っ暗だった。
お嫁さんはここ数日また体調が悪く臥せっているとのこと。
息子の家ではお正月どころではなかったのだろう。
逃げ出すような思いで我が家に来てくれたのだと思う。
息子とけい君が不憫でならないけれどお嫁さんを責める気はない。
「乗り越えて行かなくちゃね」と息子に声を掛けていた。
新しい年が始まったのだ。何があっても立ち向かって行こう。
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