朝の肌寒さは続いているけれど日中は春の陽気となる。
早朝から川仕事に行っていたけれど収穫はほんのわずか。
嘆こうと思えばいくらでも嘆けるのだけれど
とにかく精一杯にと手を動かしていた。
船着き場の対岸にそれは見事な藤の花を見る。
それは水面ぎりぎりのところまで枝垂れ咲き
まるで水鏡に姿を映すのを楽しんでいるようだった。
誇らしく思うこともなくてはならない。きっと私だって。
今朝からあやちゃんが口を聞いてくれずいささかショックなり。
原因は昨夜私が無理やり髪を乾かそうとしたことらしい。
そのせいで食べようとしていたアイスがとけてしまったのだそうだ。
アイスを食べ終わってから髪を乾かしてあげれば良かった。
それほどまでに気を損ねていたことを今朝まで知らずにいて
「ごめんね」と謝ったけれど「おばあちゃんはだいきらい」と言う。
いつもならそのうち忘れてくれるだろうと思うのだけれど
今日はどうしてか悲しくてならずすっかり落ち込んでしまった。
ふと自分は死んでしまったほうが良いのかもしれない思う。
悲観し始めたらきりがない。とことん落ちるところまで落ちる。
それが顔に出てしまっていたのだろう。夕方になりやっと
あやちゃんが話しかけてくれた。今夜はスシローに行くとのこと。
「おばあちゃんたちも外食したら良いのに」と言ってくれる。
私はすぐに笑顔にはなれなかった。「お金ないけん」と応える。
そうしたらあやちゃんが「オーマイガット」と言って笑った。
じいちゃんと二人きりの寂しい食卓をかこみながら
やっぱり家族ではないのかもしれないねとしみじみと語り合う。
もしもこの先娘たち一家が出て行くと言えば引き止めまいと。
考えれば考えるほど寂しい事だけれど仕方ないねと結論に達する。
あとどれくらいなのかわからないけれど
「おばあちゃんだいすき」と言ってもらえるような自分でありたい。
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