朝の肌寒さはつかの間のこと日中はぽかぽか日和になる。
つつじ。藤の花。あやめ。遅咲きの桜はぼたん桜だろうか。
花たちはバトンタッチをするように次々と咲いてくれる。
春爛漫のなんとありがたいことだろう。心にもほっこりと花が咲く。
今日から新学期。そうしてめいちゃんの入学式だった。
まるで自分のことのようにそわそわと落ち着かない朝。
「おばあちゃんは早く仕事に行けば」と娘に言われて
なんだか後ろ髪を引かれるようにして家を出る。
さすがにもう一緒に学校へ行くわけにはいかない
それが少し寂しくもありせつなくもあった。
そうして少しずつ離れていく。それが子供の成長なのだろう。
仕事を終えて帰宅するなりあれこれと話しかけていた。
担任の先生の名前を教えてもらったりランドセルの中を見せてもらったり
そこには明日持って行く「家庭調査票」も入っていて
娘が記入したのだろう家族構成の欄に祖父母の名前が無かったのだ。
娘に問い詰める訳にもいかずぐっと我慢するしかない。
仕方ない事なのだけれどいささかショックでもあった。
「家族ではない」と言われればそれまで。受けとめるしかない。
以前にあやちゃんが「私の家族」という作文を書いていて
その時にも私たち祖父母の事は一切記されていなかった。
「どうして?」と訊いたら「はずかしいけん」と答えたのだった。
祖父母との同居が子供心に負い目を感じさせていたことを知る。
家族ってなんだろう。どうすれば本物の家族になれるのだろう。
悲観しようと思えばいくらでも悲観できるけれど
私はそれだけはしたくないと思うのだった。
私たち夫婦にとって娘一家はかけがえのない大切な家族だった。
その愛しさはどんな言葉でも言い表せないとても尊いこと。
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