雨のち晴れ。午後には暖かな陽射しが降り注ぐ。
雨はまさに「桜雨」いかにも春らしい優しい雨だった。
しっとりと濡れた花びらにはかすかにせつなさが匂う。
胸を熱くするにはいささか歳を取り過ぎてしまったけれど
時おりふっとまだ「おんな」なのだろうかと思う時がある。
今朝はどうしたわけかひどく苛々してしょうがなかった。
めいちゃんの朝の支度が遅く車に乗って20分も待つ。
遅刻しても誰も咎めはしないのに何を急いでいたのだろう。
ついつい「もう限界」と声をあげてしまっていた。
「おばあちゃんちこくするの?」めいちゃんの心配そうな声で
やっと我に返っていた。「だいじょうぶよ」と笑顔で応える。
冷静になってみればめいちゃんと保育園に行けるのも今日と明日。
待ち時間がどうしたというのだろう。大切なひと時ではないのか。
小雨の降る中ふたりで傘を差した。門をくぐっためいちゃんが
一瞬振り向いて手を振ってくれる。私の胸はとても熱くなっていた。
めいちゃん。明日もおばあちゃんと一緒に行こうね。
ゆびきりげんまんしようね。
だいすきなめいちゃんへ。おばあちゃんより。
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