2021年03月15日(月) |
桜の季節が来るたびに |
ぽかぽかと暖かくすっかり春の陽気となる。
高知城下の染井吉野が咲いたそうで桜の「開花宣言」があった。
四万十は少し遅れそうだけれど蕾ははっきりと見て取れる。
それにしても「桜」にはどれほどの種類があるのだろうか。
早咲きの桜があちらこちらに咲いているのが見られるこの頃のこと。
コロナ禍で今年も宴会を伴うお花見は自粛しなければいけないよう。
それでも桜を愛でることは出来る。静かに眺めるのも良いだろう。
私はそんな静かなひと時が好きだ。あまり騒ぐのは性に合わない。
39年ほど昔の春のことだと記憶している。
家族4人で市内の公園にお花見に行ったことがあった。
その当時は海苔が豊漁で毎日大変な忙しさだった。
ふたりの幼子はいつも作業場の庭で遊んでばかりいて
相手にしてやることも出来ず甘えることさえも我慢を強いられ
ひたすら親の仕事が終わるのを健気に待っていたのだった。
ある日のこと帰り道に親戚のおじさんから声をかけられ
「公園へ連れて行ってもらえ、熊さんもいるぞ」と。
それを聞いた息子がぐすんぐすんと泣き出しやがて大泣きになった。
ずっとずっと我慢をしていたのだろう。その時堪忍袋の緒が切れたのだ。
どうにも手がつけられなくなったのと可哀想でならないのとで
「よっし、お花見に行こう」と大急ぎでおにぎりを作り出掛ける。
ちゃんと熊さんにも会えて桜の木の下でおにぎりを食べた。
その時の息子の嬉しくてたまらない笑顔を一生忘れられないでいる。
桜の季節が来るたびに思い出す。我が家の最初で最後のお花見だった。
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