穏やかな晴天と思いきや風が思いがけず冷たかった。 生まれたばかりの北風の赤ちゃんなのかもしれない。 そうしてだんだん大きくなって北風小僧になるのだろう。
落ち葉がからころと山道で舞っていた。 それを合図のように雀達が一斉に飛び立っていく空。
仕事でとあるお客さんのお宅を訪ねた。 なんだか暗い顔をしているなと思ったら 長年可愛がっていた猫が死んでしまったと言う。 思い出話を聞いているうちにもらい泣きをしてしまった。 とても他人事には思えないこと。どんなにか辛かったことだろう。 いつまでも悲しんでいてはいけないのだけれど そう呟きながら奥さんはぽろぽろと涙を流していた。
亡くなった猫ちゃんがあんずと重なる。 いつかはその時が来るのだとわかっていても首を横に振る自分がいた。
仕事を終えて帰宅するなりあんずがきゅいんきゅいんと泣いた。 ちょっと待っていてね。声をかけて急いで洗濯物を取り入れた。
散歩道の風は冷たいけれど、陽射しを浴びるようにして歩く。 お大師堂で出会ったお遍路さんがあんずと遊んでくれた。
なんと中国から来た留学生だと言うこと。 日本語がとても上手なので外国人だとはとても思えなかった。
笑顔の爽やかな青年だった。明日も頑張りますよって元気な声が嬉しい。
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