昼下がり、思いがけずに娘が綾菜を連れて遊びに来てくれた。 昨日会ったばかりで今日も押しかけるわけにはいかないなと しょんぼりと諦めていたからすごく嬉しかった。
ジージも大喜び。ひいおばあちゃんも大喜び。 娘と綾菜のおかげでみんなが笑顔の日曜日となった。
綾菜がお昼寝をしている間に少し早めの散歩に出掛ける。 お大師堂でお経を唱えている時だった。後ろに人の気配がして 振り向くとなんとそこに例の長髪青年遍路さんが立っていて驚く。 あれは八月のお盆過ぎではなかったか。最後のお別れをしたのだった。 もう会う機会はないだろうと思っていただけにほんとに思いがけなかった。 聞くと八十八番を無事に終えてからすぐに愛媛の自宅には戻らず、 また一番から歩いて帰宅しようと決めたのだそうだ。 おかげでまた会うことが出来た。ほんとうにありがたいことである。
これまで何度も会ったけれど、彼の背負っているものに触れることはなかった。 触れてはいけないようなそんな気がしてそっと見守る気持ちでずっといた。
けれども今日は彼のほうから話してくれる。 それは私などには想像もつかないようなとても重たい現実だった。 若くしてこれほどの苦労を背負わなければいけないのか。 なんだか憐れでならずかといって微力な私に何が出来よう。
「決して無駄なことではなかったんだよ」そう言って励ますのが精一杯だった。 彼も大きく頷いてくれる。ひとつでも流れが変わってくれたらそれで良いと。
彼と彼の帰りを待ちわびているご家族がどうか平穏に過ごせますように。
私に出来ることは祈ること。それしか出来ないのではなくて
どんなにささやかなことでも出来ることがあるのだということを忘れはしない。
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