今日も夏色の空。光の天使たちが空を舞っているようだった。 31年前の今日を思い出す。あの日も夏の光がきらきらと輝いていた。 夏に生まれた子はおひさまのこども。そうして一輪のひまわりが咲く。 生まれてきてくれてありがとう。嫁いでしまってもいつまでも愛しい娘だった。
そんな娘にも綾菜にも会えないまま一日が暮れようとしていた。 お大師堂に見覚えのある靴が脱ぎ揃えてありはっとその顔が浮かぶ。 やはりそうだった。長髪青年遍路さんとの嬉しい再会であった。
目標の10巡目。とうとう最後のお遍路になってしまった。 愛媛県内にある家を出てから一年半近く、一度も家には帰らず彼は旅をしていた。
なんとしても目標を達成するのだと言う強い意志が彼を動かしていたのだろう。 今は亡きおじいちゃんとともに旅した幼い頃の記憶も励みになっていたと思う。
やっと最後になりました。きらきらと輝く瞳でほんとに嬉しそうに語ってくれる。 辛いこともたくさんあったけれど、人との出会いが何よりも嬉しかった。 そうしてひとを思い遣るという気持ちが日に日に大きくなったのだと言う。 これからは自分のために生きるのではなくひとの為に生きたいと強く思ったそうだ。
お遍路は辛かったけれど、お遍路をしてほんとうに良かった。 一生の宝物になるような素晴らしい経験だったと語ってくれた。
最後はふたり涙ぐんでしまって胸がいっぱいになってしまったけれど、 ありがとうの言葉を交わしあいながら手を振って別れることが出来た。
彼を励ましながら自分もどんなにか励まされたことだろう。
ほんとうにありがたい出会いであった。彼のことは一生忘れないだろう。
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