この炎が見えますか? どうか無事に帰って来て下さいね。 語りかけるように手を合わす夕暮れ時だった。
そうして今度は仏壇に手を合わす。 その時だった。精霊棚の笹が微かに音を立てているのに気づく。 じんじんと鳴り響くような音。 それは笹が風に揺れている音では決してなかった。
「おばあさ〜ん、おじいさんが帰って来たよ」
おもてに居た姑を急いで呼びに行く。 義父が亡くなってもう三十年が経つけれどこんな事は初めてだった。 「おやまあ、今年はどうしたことかね」と姑もびっくりしていた。
ちゃんと帰って来たよと義父がみんなに知らせてくれているのに違いない。 そう思うと感動で胸がいっぱいになった。とても嬉しくてならない。
おじいさんお帰りなさい。みんなで待っていたよ。
息子や娘にも知らせなくては。孫達にどんなにか会いたいことだろう。 そうして綾菜も。初めてのひ孫だからすごく喜んでくれると思う。
おじいさん帰ってきてくれてありがとう。嬉しい夜になりました。
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