お風呂上りの火照った身体に夕風が心地よい。 今日も暑い一日だった。日が暮れ始めるとなんだかほっとする。 ふと茜色の空に向かって歩いてみたくなった。夕涼みも良いものだ。
土用の丑の日。朝からウナギのことばかり考えていた。 高値だけれど二人分ぐらいならなんとかなるかしらと思っていたら。 今日に限って息子から「晩飯たのむ」のメールが届く。
ウナギは息子の好物。食べさせないわけにはいかなかった。 いつも質素な食事ばかりなのでたまには奮発しなくては。 そう思った矢先、またメールが届き「ウナギ代はおごってやる」と。 ゲンキンな母は目の前がぱあっと明るくなったのは言うまでもない。 素焼きのウナギを四匹買う。息子に二匹食べさせてあげたかった。
帰宅すると息子はもう待ち兼ねていて、早目に蒲焼を作った。 大きなどんぶりでうな丼、ガツガツとそれは美味しそうに食べてくれる。
「ごちになりました」父も母もお腹いっぱいになって幸せそのもの。 息子は食べ終わるなり帰ると言って財布から一万円札をぽんと出してくれた。
「おつりはいらねえよ」なんかすごくかっこつけているのだけれど。
母はすごく嬉しくてなんだか涙が出そうだった。
ありがとね。ありがとねって言っているうちに息子は風のように去って行った。
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