最高気温が33℃。この夏いちばんの暑さとなる。 山里では稲穂が実り始め、ほんのりとした黄金色が広がっている。
心配していた母は痛みを訴えることもなく一日が過ぎたけれど、 私が心配するからと口に出さないだけかもしれなかった。 はらはらと気遣う気持ちと母の笑顔にほっとする自分がいた。
どうか少しでも楽になりますように。毎日祈り続けているばかり。
夕方のお大師堂で顔馴染みのお遍路さんGさんと再会する。 目がくりくりっとしていていつも笑顔のお遍路さんだった。 普段はちょっとした世間話などして別れるのだけれど、 今日は長話になってしまって「職業遍路」の話しになった。
たくさんの苦労話。托鉢をしなければ食べていけないこと。 帰る家や待っていてくれる家族がいる人は殆どいないと言う。 Gさんもその一人で何もかも捨ててきたのだと言った。 それが気楽で良いですよと言うけれどなんとも複雑な気持ちになる。 四国を歩いて四国で死ぬのが運命なのだと微笑みながら語ってくれた。
自分はたくさんの縁に恵まれてこうして生きていられる。 これ以上の幸せはないのだ。ありがたいことだと言っていた。
それがGさんの人生。どんなことがあっても一生懸命に生きること。 たとえのたれ死んでも幸せな一生だったと微笑んで逝けると言うこと。
熱いものが私の胸に込み上げてくる。なんともせつない。 けれどもその「人生」を否定する事などどうして出来ようか。
「また会いましょうね」それが合言葉のようになりそれが私達の約束。
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