お天気は下り坂。おひさまは見えなくてもじゅうぶんに暖かい。
午前中に息子の様子を見に行こうと決めて。 ちょっとしたお弁当を作った。 卵焼きとウインナー。質素なものだけれど。 手作りにこしたものはないと勝手に決めつけて。
クルマで10分ほどの道のりをとばして行く。 チャイムを鳴らすときちょっとはらはらした。 寝込んでいるのを起こしてしまうのではないか。 出て来なかったらどうしようと心配でならない。
良かった。足音が聴こえる。 そうしてすぐにドアを開けてくれてほっとした。
けれども開口一番に怒られてしまった。 あれほど来るなと言っておいたじゃないか。 来るなら来るでどうして先に電話をしないのか。
だって電話しても来るなって言うに決まっているもん。 大丈夫だからって言うに決まっているもん。
結局押し問答みたいになって玄関から中には入れてもらえない。 かろうじてお弁当だけは受け取ってくれて外に追い出される始末。
「今夜は夜勤だから!」ってドアを閉める時にそう言った。 どんなに体調が悪くても休めない仕事。休めば同僚に迷惑をかける。 俺はなんとしても仕事に行くんだからと強がっているようにも感じた。
追い出されたからにはどうしようも出来ない母である。 ふうっと大きな溜息をついて閉まったドアをぼんやりと見つめる。
「しんちゃん、どうして?」と泣き崩れるような母ではなかった。
追い返すほどの元気があって良かったなって思う。
そうしてぶつぶつ言いながらお弁当を食べている姿が目に浮かぶ。
母の卵焼きは美味しいでしょ!って今日の勝負は母の勝ちだもんね。
今頃は夜勤の仕事についている頃。
頑張らなくても良いよ。決して無理をしないでいてね。
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