午前中はまるで春霞のような空。午後から一気に曇ってくる。 暖かさもつかの間。散歩の時間には風がとても冷たく感じた。
お大師堂のすぐ近くに咲くタンポポと語らう。 たくさんあった蕾がすっかり咲いて微笑んでいる。
ここはもう春。そう思うと寒の戻りも気にならなかった。
だいじょうぶ。もう峠は越えた。春の野原に向っているよ。
耳を澄ましてみる。タンポポさんは何て言っているのだろう。
こんなにもほっこりと。優しい花はないよって私は言った。
てくてくてく今日も歩く。歩いていると心も動いている。 わくわくとしたりちょっとどきどきもしたりしながら。 誰かと手を繋いで踊っているような気分にもなったりする。
それが誰なのか確かめるのはちょっと照れくさい。 少女のように髪をなびかせるにはずいぶんと老いてしまった。
けれどもその老いをちょっと誇りに思う日が来るかもしれない。
生かされているのだもの。生きてみなくちゃ。
胸をはって私は歩く。だって春の野原が待っていてくれるのだもの。
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