ほんの少し日が長くなったようだ。 午後六時。うっすらと暮れていく空に一番星が見える。
昨日お大師堂にて山梨のMさんと再会する。 いつも元気なMさんも寒さが身に堪えるとのこと。 連泊をすることになり今日もまた会うことが出来た。
すっかり顔なじみになっていても会うたびに懐かしい。 私のことを「おかあさん」と呼ぶのも変わらなかった。
奥様の供養の旅もこれで20巡目となるけれど。 いつだって初心にかえることを心がけていると言う。
そうでなければいけない理由。それは訊けなかった。 Mさんにとっては終わることのない旅なのかもしれない。
初心にかえる。それはとても大切なことだとわかっていても。 ついつい忘れてしまっては目先のことに惑わされるのが人の常。
Mさんの凜とした姿から学ぶことはとても貴重なことだった。
「ゆっくりと休むことが出来たのでまた明日から頑張りますよ」
満面の笑顔でそう言うMさんの背負っているもの。 それがどんなにか重い痛みであるかを私なりに感じることが出来た。
「じゃあまた40日くらいしたら会いましょう」
その40日を。私は苦労もせずに平々凡々と日々流されていくことだろう。
Mさんは歩き続ける。寒風にあおられながら重い荷物を背負いながら。
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