| 2011年12月02日(金) |
お遍路さん(その8) |
今日も冷たい雨が降ったりやんだり。
夕方にはちょうどやんでいて少し散歩に行けた。 灰色の川を見ているとなんだかさびしくなる。 水はただ空を映しているだけなのだけれど。
雨が降らないうちにと自転車を飛ばしお大師堂へ行く。 向かいながらふっとあるひとの顔が目に浮かんだ。 そろそろまた会える頃ではないかしらと思っていた。
そうしたら。なんとお大師堂で私のことを待っていてくれた。 山梨からのお遍路さんMさんである。 奥様を亡くされて供養のために始められたお遍路も19巡目。 もう二年余りもひたすら歩き続けていることになる。
私も縁あって巡り会う事が出来、会うのはこれで6回めだろうか。 最初は名前も知らず詳しい事情を聞くのもはばかられたけれど。 会うたびに心が通うようになりMさんから話し出してくれたのだった。
Mさんは私のことを「おかあさん」って呼ぶ。 そうだった。私はいまだに自分の名前を教えていなかったっけ。 けれどもその「おかあさん」って呼ばれることがとても心地よい。
もしかしたらMさんの亡くなった奥様と同じ年頃かもしれない。 生前の奥様のことを「おかあさん」って呼んでいたようにも思う。
私は今日も自分の名前を教えることがなかった。 ずっと「おかあさん」って呼んでほしいなあって心から思った。
またきっと会えますよね。次に会う頃にはもう年明けかしら。 約束こそしないけれど必ず会えるという確信があり嬉しく思う。
大晦日。元旦は懇意にしている方のお宅で過ごせるということ。 毎日の野宿から開放されあたたかなお布団で眠ることが出来るのだ。
それを聞いてどんなにかほっとしたことだろう。
そうしてMさんはまた新しい年を歩き出す。
春夏秋冬。Mさんの日々がとても尊く思えてならなかった。
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