この秋いちばんの冷え込みだということ。 きりりっとした肌寒さもまた心地よいものだ。
夜が明けるのを待ちかねるようにして。 早朝から川仕事に出掛ける。 これから海苔網の準備が少しずつ始まる。 網が緑に染まれば順調に進むことだろう。
山里の職場を休ませてもらったおかげで。 ゆっくりと買物に行ったりのんびりと過ごす。
娘のサチコが勤める雑貨屋さんにも行ってみたけれど。 今日は遅番だということでまだ出勤していなかった。 電話をしてみれば少し不機嫌でしんどそうな声だった。 朝は特に悪阻がひどいようでとても心配でならない。 かといって代ってあげることも出来ず励ますしかなかった。
帰宅すると夜勤明けの息子が来ていてこれもしんどそう。 ソファーに埋もれるように寝ている姿におろおろとする。
ふたりのこども達はそうして日々を乗り越えている。 どうか元気にどうか無事にと祈ることだけが母の役目のように思う。
嬉しかったのは息子が妹の事をとても気遣ってくれたこと。 仕事で重い物を持ったりしていないか、悪阻は大丈夫か。 絶対に無理をさせてはいけないぞ。大事な身体なんだから。
幼い頃からケンカひとつしたことのない兄と妹だった。 おとなになってもお互いをいたわる気持ちを大切にしてくれる。
そんなふたりに育ってくれたことが父と母の幸せにほかならない。
おにいちゃんありがとうね。母さんとても嬉しかったよ。
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