散歩道の土手に野菊の花を見つける。
薄紫のなんとも可憐な花だった。
かたわらには若きススキの穂が風に揺れている。
なんだか恋をしているようなその姿が微笑ましい。
風が吹くたびにふたりはふれあうことだろう。
そのたびにどきどきとして頬を染めることだろう。
お大師堂にはお遍路さんの靴がそろえてあった。 いつもならきびすを返してしまうのだけれど。 今日は声をかけたくなって歩を進めて行った。
そうしたら今まで何度か会った事のあるお遍路さんだった。 懐かしい顔。目がくりくりと丸くて笑顔がなんともいえない。
「ワンちゃん元気でしたか?」 あんずのことも憶えていてくれてとても嬉しかった。
夏遍路の厳しさ。野宿の辛さなど少し語らい。 屋根のあるところで眠れることほどありがたいことはないと言う。
こんなふうにお大師堂を気に入ってくれて。 巡るたびに泊まってくれるひとがいてくれるのが嬉しかった。
また会いましょうね!笑顔と笑顔で別れを告げる。
帰り道はとても清々しい気持ちだった。
しきりに夏草とたわむれるあんずにつきあいながら。
ゆったりと穏やかな気持ちになっていくのを感じる。
ひととふれあい。自然の草花にふれあう。
それはとても幸せなことなのだなとつくづくおもった。
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