日が暮れるのを待ちかねていたかのように秋の虫達が鳴き始める。 コウロギだろうか鈴虫だろうかと耳を澄ましながらこれを記す。
なんだか背中を押されているような気持ちになってしまう。 わたしも夏の一部分だったのかもしれない。
後ろ髪をひかれるようにほんの少し前へとすすむ。
振り向いたってかまいやしない。だって夏が好きだったから。
昨日はサチコの誕生日だった。 一緒に暮らしている頃ならお祝いもしてあげられたけれど。 顔すら見ることも出来ずそっとメールを送った夜だった。
それが今日。仕事帰りのスーパーで偶然サチコと会えたのだった。 びっくりしたのと嬉しいのとで顔がしわくちゃになってしまう。 一日遅れたけれど何か買ってあげるねと言うとすごくはしゃいで。 ビールが良いよと言うのでそれを買ってあげると大喜びしていた。
じゃあね。またね。なんだか娘というより友達みたいにして別れた。
わたしのこころのなかには一輪のひまわり。
それが思い出のように咲いているのを感じる。
秋が来てやがて冬がめぐってきてもそのひまわりは決して枯れない。
生まれてきてくれてほんとにありがとう。
母ね。サチコのお母さんになれてすごく幸せなんだよ。
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